軸索の終わりを軸索末端といい、その先には次の細胞があります。この 2 つはつながっていません。20 ナノメートルほどのすき間が空いています。
このすき間をシナプス間隙、つなぎ目全体をシナプスといいます。
すき間があるので、電流はここを越えられません。軸索を伝わってきた電気の信号は、いったん別のものに変わってすき間を渡ります。
活動電位が軸索末端まで届くと、そこにあるカルシウムイオン Ca²⁺ のチャネルが開きます。
Ca²⁺ は外側に多いので、開いた通り道から末端の中へ流れ込みます。
脱分極しただけでは何も起きません。Ca²⁺ が入ってはじめて次の段が始まります。Ca²⁺ が引き金です。
軸索末端の中には、神経伝達物質の入った袋が浮かんでいます。これをシナプス小胞といいます。
流れ込んだ Ca²⁺ を合図に、小胞が末端の膜と融合して、中身をすき間へ放出します。
ここで信号は電気から化学に変わりました。放たれた神経伝達物質は、すき間を拡散して向こう側へ渡っていきます。
渡りきった神経伝達物質は、次の細胞の膜にある受容体に結合します。
結合すると受容体のチャネルが開き、イオンが動いて次の細胞の膜電位が変わります。ここで信号は化学から電気に戻りました。
すき間に残った神経伝達物質は、酵素に分解されるか、末端に回収されて片づけられます。片づけないと受容体が開いたままになり、信号が終わらなくなります。
小胞があるのは放つ側だけ、受容体があるのは受け取る側だけです。
だから信号は必ず一方向にしか渡りません。軸索の中では不応期が向きを決めていましたが、シナプスではもっと単純で、作りがそうなっているだけです。
この段には時間がかかります。Ca²⁺ が入り、小胞が融合し、伝達物質がすき間を渡るのに 1 ミリ秒ほどです。これをシナプス遅延といいます。