脊椎動物の神経繊維の多くは、軸索のまわりに膜が何重にも巻きついています。これを髄鞘といいます。
髄鞘は絶縁体です。巻かれた区間では、イオンが膜を出入りできません。
図の軸索には、太い鞘がところどころに巻かれています。この鞘のある神経繊維を有髄神経繊維、ない神経繊維を無髄神経繊維といいます。
鞘と鞘のあいだには、軸索がむき出しになったすき間があります。これをランビエ絞輪といいます。
Na⁺ のチャネルは、この絞輪にだけ集まっています。鞘の下にはありません。だからイオンが出入りできるのも絞輪だけです。
図で絞輪に印を付けてあります。興奮が起きるのはこの印のところだけで、そのあいだの鞘では起きません。
ある絞輪が興奮すると、局所電流が軸索の中を流れます。ここまでは無髄のときと同じです。
違うのは、その電流が鞘の下で使われないことです。鞘の下は充電も漏れもしないので、電流はそのまま次の絞輪まで届きます。そして次の絞輪が閾値に届いて興奮します。
図の光は、絞輪で立って、次の絞輪で立ちます。あいだは飛ばされます。この進み方を跳躍伝導といいます。
図の上が有髄、下が無髄です。同じ長さの軸索を、同じ瞬間に興奮させてあります。
有髄のほうが先に端へ着きます。膜を充電する場所が絞輪だけになったので、そのぶん時間が縮んだからです。
ヒトの有髄神経繊維の伝導速度は毎秒 100 メートルにも達します。無髄の 100 倍ほどです。髄鞘が壊れる病気では同じ軸索が急に遅くなり、体が思うように動かなくなります。