ニトロベンゼンにスズと濃塩酸を加えて温めます。ニトロ基が水素を受け取って、アミノ基に変わります。
できるのがアニリンです。ベンゼン環にアミノ基が直接付いた化合物で、無色でわずかに油のような液体ですが、空気に触れるとしだいに赤褐色になります。
系統図でベンゼンから上へ伸びる道は、ニトロ化と還元の 2 段でここへ着きます。
アニリンは塩基です。この道具に出てくる化合物のなかで、塩基はこれだけです。
だから塩酸のなかでは遊離した形では出てきません。塩酸と結んで塩になり、アニリン塩酸塩として水に溶けています。
ここへ水酸化ナトリウムを加えると、強い塩基が弱い塩基を追い出します。アニリンが遊離して、油状になって分かれて出てきます。
塩基だから塩酸で塩になって水に溶ける。この一点が、分液漏斗でアニリンだけを最初に取り分けられる理由です。
アニリンに亜硝酸ナトリウムと塩酸を、5 ℃ 以下に冷やしながら作用させます。アミノ基がジアゾニウム基に変わり、塩化ベンゼンジアゾニウムができます。
低温を保つのには理由があります。温度が上がると、この塩は分解して窒素を出し、フェノールに変わってしまいます。
つまり冷やさなかったときに何ができるかまで込みで覚えると、「5 ℃ 以下」という条件が意味のある数字になります。
できた塩化ベンゼンジアゾニウムに、ナトリウムフェノキシドの水溶液を加えます。2 つの環がアゾ基でつながって、p-フェニルアゾフェノールができます。
橙赤色です。この反応をカップリングといい、できたものをアゾ化合物といいます。
色が出るのは、2 つの環がアゾ基を通して 1 つながりになるからです。つながりが長いほど濃い色になります。アゾ化合物が染料に使われるのは、この性質のためです。