エーテルに 4 つの化合物を溶かしてあります。アニリン・安息香酸・フェノール・ニトロベンゼンです。
ここに水溶液を加えて振ると、2 つの層に分かれます。上がエーテル層、下が水層です。
有機化合物はそのままではエーテル層にいます。ただし塩になると水に溶けるので、下の水層へ落ちます。分離とは、取り出したいものだけを塩にすることです。
だから順序は覚えるものではありません。どの試薬でどれが塩になるかを考えれば、順序のほうが決まります。
まず希塩酸を加えます。酸が塩にできるのは塩基です。
この 4 つのうち塩基はアニリンだけなので、アニリンだけが塩になって水層へ落ちます。安息香酸とフェノールは酸、ニトロベンゼンは中性なので、どれも動きません。
落ちたアニリンを取り出したいときは、分けた水層に水酸化ナトリウムを加えて遊離させます。
次に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えます。ここで塩になれるのは、炭酸より強い酸だけです。
安息香酸はカルボン酸で、炭酸より強い酸です。塩になって水層へ落ち、そのとき二酸化炭素の泡が出ます。
フェノールは炭酸より弱い酸なので、ここでは動きません。同じ酸なのに片方だけが落ちるところが、この段の要点です。
ここで使っているのは、酸の強さの順です。カルボン酸、炭酸、フェノールの 3 つが、この順に弱くなっていきます。
水酸化ナトリウム水溶液は、炭酸水素ナトリウムより強い塩基です。だから炭酸より弱い酸でも塩にできます。
フェノールが塩になって水層へ落ちます。ナトリウムフェノキシドです。
エーテル層に残ったのはニトロベンゼンだけです。酸でも塩基でもないので、どの試薬を使っても塩になりません。最後まで残ったものが中性の化合物である、というのはこのためです。
先に水酸化ナトリウムを加えたらどうなるか。安息香酸もフェノールも同時に塩になって、そろって水層へ落ちます。
2 つが同じ層に入ってしまえば、あとから分けられません。分離が失敗するのはこの一手です。
弱い塩基から順に使うのは、境目をひとつずつ越えるためです。炭酸水素ナトリウムはカルボン酸とフェノールのあいだに境目を作れますが、水酸化ナトリウムは両方をまとめて越えてしまいます。