円錐を平らな面で切ります。切る角を変えていくと、切り口の形が変わります。
底面と平行に切れば円。少し傾ければ楕円。母線と同じ傾きまで倒すと、切り口は閉じなくなって放物線になります。それより立てると双曲線です。
この 4 つを円錐曲線といいます。 年以上前、アポロニウスが調べ上げました。当時は天体と結びつくとは誰も思っていません。
逆二乗の力から出る道は、この 4 つしかありません。5 つ目の形はなく、4 つのどれでもない道も出てきません。
4 つの分かれ目は、切る角ではなくエネルギーで言い直せます。運動のエネルギーと、位置のエネルギーを足したものです。位置のエネルギーは無限に遠いところを と決めるので、近づくほど負になります。
足して負なら、無限に遠くへは行けません。どこかで戻ってきます。楕円です。
足してちょうど なら、無限に遠いところへ速さ で着きます。かろうじて戻らない、という際どいところで、これが放物線です。
足して正なら、無限に遠いところへ着いてもまだ速さが余っています。出ていったきり戻りません。双曲線です。
焦点を原点にした極座標で書くと、4 つは 1 行に収まります。 です。
が離心率で、 なら円、 より小さければ楕円、ちょうど で放物線、 より大きければ双曲線になります。 は半直弦といって、大きさを決める長さです。
が 以上のとき、分母が になる向きが出てきます。その向きには道がありません。双曲線が全方向へ広がらず、開いた角の中だけに伸びるのはそのためです。
名前が 4 つあるだけで、書いているものは 1 つです。離心率という 1 つの数を動かせば、形は連続して移り変わります。
惑星はどれも離心率が小さく、円に近い楕円です。分かれ目に近づくものを探すなら、彗星のほうです。
ハレー彗星は離心率 。細長い楕円ですが閉じているので、 年ごとに戻ってきます。前回は 年、次は 年です。
いっぽう、離心率が にごく近い彗星は、太陽のそばを 1 度かすめて出ていきます。観測から求めた離心率が なのか なのかで、 万年後に戻ってくるのか、二度と来ないのかが分かれます。
ただし、そのどちらかを測り分けるのは簡単ではありません。惑星のそばを通れば軌道はわずかに変わり、分かれ目をまたいでしまうこともあります。
離心率が を大きく超えていれば、話は決まります。その天体は太陽に捕まっておらず、どこか別のところから来たものです。
年に見つかったオウムアムアは、離心率 でした。太陽系の外から来た天体が見つかったのは、これが初めてです。細長い形をしていて、その正体はいまも決着していません。
年のボリソフ彗星は 。ここまで大きいと道はほとんどまっすぐで、太陽のそばを通っても曲がり方はわずかです。尾を引いていたので、こちらは彗星だとはっきり分かりました。
どちらも、二度と戻ってきません。離心率が を超えているとは、そういうことです。