惑星の道は円ではありません。楕円です。そして太陽は、その楕円の中心にはいません。焦点と呼ばれる 2 つの点のうち、片方にいます。
楕円には決まりがあります。楕円の上のどの点をとっても、2 つの焦点までの長さを足すと、いつも同じ値になります。その値が長軸の長さ で、 を半長軸といいます。
太陽がどれだけ中心からずれているかは、離心率 で表します。 なら円、 に近づくほど細長くなります。地球は で、目で見れば円と区別が付きません。
これが第 1 法則です。 年、ケプラーが火星の観測から導きました。
太陽と惑星を線で結びます。惑星が動くと、この線は扇形を掃いていきます。
同じ時間ぶん掃かせると、掃いた面積はいつも同じになります。太陽の近くでは細長い扇、遠くでは幅の広い扇。形はまるで違うのに、面積は等しい。
ということは、太陽に近いところでは速く、遠いところでは遅く動くことになります。地球は 月に最も近づき、そのころが 1 年でいちばん速く動いています。
これが第 2 法則です。第 1 法則と同じ 年に出ました。のちに、これは角運動量が保存することと同じ内容だと分かります。
ここまでは、惑星 1 つの中だけの話でした。第 3 法則は、惑星どうしを結びます。
公転の周期を 、半長軸を と書くと、 がどの惑星でも同じ値になります。太陽を回るものであれば、惑星でも小惑星でも彗星でも成り立ちます。
数を入れます。地球は 、。火星は で、。 は 年ですから 。ぴたりと合います。
これが第 3 法則です。 年、第 1 法則と第 2 法則から 年遅れて出ました。ケプラーは長いあいだ、惑星の間隔を正多面体で説明しようとしていて、そちらは実らずに終わっています。
この 3 つは、理論から導かれたものではありません。ケプラーが持っていたのは、ティコ・ブラーエが 年かけて集めた観測の記録だけです。
望遠鏡より前の観測です。それでもティコの記録は、当時としてはずばぬけて正確でした。誤差は 分角ほど。 分角は 分の 度です。
ケプラーははじめ、火星の道を円で合わせようとしました。ほとんど合ったのですが、どうしても 分角だけずれが残りました。ほかの誰の観測であれば、その差は誤差として片づけられたはずです。
ティコの記録では片づけられませんでした。その 分角のために、ケプラーは円を捨て、楕円にたどり着きました。
3 つの法則は、惑星がどう動くかを正確に述べています。 年たったいまでも、太陽系の惑星の位置はこの 3 つでほとんど言い当てられます。
ところが、なぜそう動くのかは、どこにも書かれていません。楕円になる理由も、面積が等しくなる理由も、周期と半長軸が結びつく理由もありません。
言えるのは向きだけです。太陽のほうへ引かれている。それは 3 つの法則から読み取れますが、どれだけの強さで引かれているかは読み取れません。
その空いたところを埋めたのがニュートンです。次の記事では、3 つの法則から、距離の 乗に反比例する力を導きます。