ある時刻の位置と速度が分かれば、そのあとの動きは全部決まります。位置に つ、速度に つ。合わせて つの数です。
ところが位置と速度そのままでは、軌道の形が読み取れません。数字の列を見ても、円に近いのか細長いのか、どちらを向いているのかが分かりません。
そこで、同じ つを別の つに読み替えます。形に つ、向きに つ、いつを指すかに つ。これを軌道要素といいます。
情報の量は変わりません。読みやすさだけが変わります。
半長軸 が大きさを決めます。第 3 法則によって、 が決まれば周期も決まります。 だけで、その天体が 1 周に何年かかるかが分かります。
離心率 がつぶれ具合を決めます。 で円、 に近づくほど細長くなります。
この つは互いに関わりません。大きさを変えてもつぶれ具合は変わらず、つぶれ具合を変えても大きさは変わりません。
近日点と遠日点までの距離は、この つから出ます。近日点が 、遠日点が です。
形が決まっても、それを空間のどちらへ向けるかが残っています。向きを決めるには角が つ要ります。
まず基準の面を決めます。太陽系では地球の軌道面、人工衛星では地球の赤道面です。軌道の面がその面に対してどれだけ傾いているかが、軌道傾斜角 です。
つの面は 本の線で交わります。その線が基準の向きからどれだけ回っているかが、昇交点の経度 です。
最後に、その交わる線から近点までの角が近点引数 です。 で面を起こし、 でその面を回し、 で面の中の楕円を回す。この順で置いていきます。
ここまでで軌道そのものは決まりました。まだ足りないのは、いまどこにいるかです。
ある時刻にどこにいたかを つ書き添えます。その時刻を元期といいます。書き方はいくつかあり、元期での平均近点角 を使うのがふつうです。
同じ軌道を回る つの天体は、 だけが違います。形も向きも同じで、いま楕円のどこにいるかだけが違う、ということです。
これで つがそろいました。 と で形、 と と で向き、 でいつ。あとは時刻を入れれば、位置が計算で出ます。
小惑星のカタログを開くと、 行に つの数が並んでいます。写真も軌道図もありません。それで足ります。
ケレスなら 、、 度、 度、 度、 度。 万個を超える小惑星が、この形で登録されています。
人工衛星では書き方が少し違います。 行に押し込んだ形式が使われていて、大気の抵抗で軌道が下がっていく分まで入っています。
次の記事では、この つのうち と だけから速さが出ることを見ます。そのあとで、時刻から位置を出す計算に入ります。