軌道が決まっても、 月 日にどこにいるかはまだ出てきません。時刻から位置を出す計算が残っています。
円ならすぐです。等速で回るので、角は時間に比例します。 年の 分の たてば 度進んでいます。
楕円ではそうなりません。近日点では速く、遠日点では遅く動くので、角の進み方が一定になりません。等しい時間ごとに印を打つと、近日点のあたりでは広く、遠日点のあたりでは詰まって並びます。
時間に比例するのは角ではなく、掃いた面積のほうです。第 2 法則がそう言っています。そこを手がかりにします。
楕円をすっぽり囲む円を引きます。半径は半長軸に等しく、これを補助円といいます。楕円は、この円を縦に縮めたものです。
惑星の真上で補助円と交わる点を取ります。その点を楕円の中心から見た角が、離心近点角 です。
惑星そのものを太陽から見た角が、真近点角 です。実際にどちらを向いているかを言うのは、この角です。
そして、時間にきっちり比例する架空の角を用意します。 周を 度として、経った時間の割合ぶんだけ進んだ角です。これを平均近点角 といいます。時刻から真っ先に出るのが、この角です。
掃いた面積を、離心近点角で書き直します。補助円の扇から三角形を引く形になり、 に比例する量が出てきます。
いっぽう掃いた面積は時間に比例し、時間に比例する角は です。この 2 つを等しいと置くと、 になります。
ケプラーの方程式です。時刻から が出て、 からこの式で が出て、 から と距離が出る。この順で位置にたどり着きます。
ところが、この式を について解いた形に書き直すことができません。 が の中と外の両方にいるためです。ケプラー自身も 年前に同じところで止まり、以来、閉じた形の答えは見つかっていません。
解けなくても、値は出せます。適当な値から始めて、ずれを見て直していきます。
を計算します。 になれば当たりです。 でなければ、その点で接線を引き、接線が横軸と交わるところを次の値にします。
この直し方は、 回まわすごとに合っている桁数がおよそ倍になります。 回か 回で、必要な精度には届きます。
離心率が にごく近い彗星では、収束が鈍くなることがあります。そのときは初めの値の選び方を変えるか、別の書き換えを使います。 年のあいだに、この 1 行を速く解くための方法がいくつも作られてきました。
これで道具がそろいました。軌道要素の つと時刻を渡すと、 が決まり、ケプラーの方程式から が出て、 から と距離が出て、 つの角で空間に置き直せば位置になります。
小惑星の位置も、探査機の位置も、この道すじで出しています。天文年鑑に並んでいる惑星の位置も、もとをたどればこの計算です。
この計算には摂動が入っていません。ほかの天体の引きを無視した、 体だけの答えです。短い期間ならそれで足りますが、長く先まで見るなら足りません。
ここまでが第 章です。次の章では、この軌道そのものを変えにいきます。