ここまで、波長を決めるのに条件を手で当ててきました。円周にちょうど整数個入る、両端で になる、という具合です。
どちらも形の決まった簡単な場所だったから数えられました。位置のエネルギーが場所ごとに違う一般の場合には、波長そのものが場所ごとに変わるので、数えようがありません。
要るのは、位置のエネルギーの形を渡せば波の形が決まる、という 1 本の式です。ニュートンの運動方程式が、力を渡せば軌道を決めたのと同じ役目です。それがシュレーディンガー方程式です。
波の形を表す関数を波動関数といい、 と書きます。 そのものは測れる量ではありません。測れるのは、そこで粒が見つかる確率です。
位置 のあたりで見つかる確率は に比例します。二重スリットで縞の明るさを読んだのと同じ約束です。
粒はどこかにはいるので、 を全体で足すと になります。この決め方を規格化といいます。
時間によらない形で書くと です。
左の第 1 項は の曲がり方です。 と書き直すと、意味が読めます。
のところでは が軸の側へ曲がります。行き過ぎては戻る形、つまり振動です。 のところでは軸から離れる側へ曲がり、指数で伸びるか縮むかの形になります。トンネル効果で見た 2 つの形の違いは、この符号の違いでした。
方程式は、どんな を入れても解を持ちます。ところが、その解のほとんどは、遠くで限りなく大きくなってしまいます。
確率として意味を持つには、遠くで に落ちていなければなりません。この条件を満たす は、いくつかのとびとびの値しかありません。
とびとびのエネルギーは、こうして出てきます。ボーアのように手で置いた約束ではなく、意味を持つ解を選んだ結果です。
幅 の井戸で解いてみます。中では なので となり、解は正弦の形です。
両端で になるには、幅が半波長の整数倍でなければなりません。これは前の記事で手で置いた条件そのものです。今度は方程式のほうから出てきました。
そこから が出ます。前の記事の答えと同じです。手で当てていた条件が、1 本の式と「意味を持つ解を選ぶ」という要求から出てくる。これがシュレーディンガー方程式の役目です。