固定相場制と変動相場制の違い:為替制度の基礎|高校経済

為替レートには、国が一定の水準に固定する「固定相場制」と、市場の需給に任せる「変動相場制」の二つの仕組みがあります。日本は1973年に固定相場制から変動相場制に移行しましたが、この違いは国際経済を理解する上で重要なポイントです。

固定相場制とは

固定相場制とは、政府や中央銀行が為替レートを一定の水準に固定する制度です。

第二次世界大戦後、世界はブレトン・ウッズ体制のもとで固定相場制を採用していました。

アメリカのドルと金を交換可能とし(金1オンス=35ドル)、各国通貨はドルに対して固定レートを維持する仕組みでした。

日本円は1ドル=360円に固定されていました。この安定したレートのもとで、戦後日本は輸出を伸ばし、高度経済成長を実現しました。

メリット

為替変動リスクがないため、貿易や投資の計画が立てやすくなります。物価も安定しやすい傾向があります。

デメリット

固定レートを維持するために、政府は外貨準備を使った市場介入を行う必要があります。経済実態と合わないレートは維持が困難です。

変動相場制とは

変動相場制とは、為替レートを外国為替市場の需要と供給に任せて自由に変動させる制度です。

固定相場制

政府・中央銀行がレートを固定。安定性はあるが、維持コストがかかり、経済実態との乖離が生じやすい

変動相場制

市場の需給でレートが決まる。柔軟性があるが、為替変動リスクが生じる

1971年、アメリカがドルと金の交換停止を宣言しました(ニクソン・ショック)。これによりブレトン・ウッズ体制は崩壊し、主要国は1973年以降、変動相場制に移行しました。

変動相場制の特徴

自動調整機能

経常収支の不均衡が為替レートの変動によって自動的に調整されます。貿易赤字国の通貨は下落し、輸出が促進されます。

金融政策の自由度

固定相場維持の縛りがなくなるため、各国は独自の金融政策を実施できます。

為替変動リスク

企業は為替変動による損益が生じるため、為替ヘッジなどのリスク管理が必要になります。

固定相場制から変動相場制へ

1944
ブレトン・ウッズ会議

IMF・世界銀行の設立が決定。金・ドル本位制による固定相場制が確立されました。

1971
ニクソン・ショック

アメリカがドルと金の交換停止を発表。固定相場制の維持が困難に。

1973
変動相場制へ移行

主要国が変動相場制に移行。日本円も市場で自由に取引されるようになりました。

日本円のレートは、固定相場時代の1ドル=360円から、変動相場制移行後は円高が進み、1995年には一時1ドル=80円を割り込むこともありました。

現在の為替制度

現在、先進国の多くは変動相場制を採用していますが、世界には様々な為替制度が存在します。

制度特徴採用例
完全な変動相場制市場に完全に任せる日本、アメリカ、EU
管理変動相場制変動を認めつつ介入も行う多くの新興国
固定相場制特定通貨に固定香港(対ドル)
通貨統合共通通貨を使用ユーロ圏

為替制度の選択は、各国の経済状況や政策目標によって異なります。どの制度にも一長一短があり、「正解」は一つではありません。国際経済のニュースを理解する上で、この二つの制度の違いを知っておくことは大切です。