Ia 型超新星は、出す光の量がほとんど決まっています。だから見かけの明るさを測れば距離が出ます。距離のはしごのいちばん上の段です。
この超新星を、赤方偏移と見かけの暗さの両方で測って並べます。近いものは、ハッブルの法則から引いた線のとおりに乗ります。
が を超えるあたりまで測ったとき、点が線から外れました。同じ赤方偏移で予想される明るさより暗い。つまり、思っていたより遠くにあります。
ずれは小さく、 等から 等ほどです。しかし遠いものほど大きくなり、向きはいつも同じでした。測り間違いでは、この揃い方は出てきません。
膨張がどう進んできたかは、 という 本の曲線に表れます。 は空間の広がりで、いまを とします。
中身が物質だけなら、重力は引き合う一方なので、膨張はかならず遅くなります。曲線は上に凸になります。
遠くの超新星が予想より暗いということは、同じ赤方偏移までの道のりが長いということです。それは、途中の膨張が予想より速く進んだときに起こります。
観測に合う曲線は下に凸でした。膨張は遅くなるどころか、速くなっています。何かが重力に逆らって空間を押し広げています。それを暗黒エネルギーと呼んでいます。
ただし、ずっと加速していたわけではありません。物質の密度が高かったころは、重力のほうが勝っていました。
膨張すると物質は薄まります。同じものが広い空間に散らばるので、密度は空間の広がりの 乗に反比例して下がります。
ところが暗黒エネルギーは薄まりません。空間そのものが持つ性質なので、空間がどれだけ広がっても、その密度は変わらないままです。
だから、いつかは立場が入れ替わります。実際、、いまから 億年ほど前に、膨張は減速から加速へ転じました。曲線はそこで反り方を変えます。
つの密度を、空間の広がりに対して並べてみます。物質のほうは で、右へ行くほど下がっていきます。
暗黒エネルギーのほうは が水平のままです。空間が 倍に広がれば、その総量も 倍になります。密度が変わらないからです。
下がる線と水平な線は、いつかかならず交わります。宇宙は、物質が主役の時代から暗黒エネルギーが主役の時代へ移ります。一度移ったら、もう戻りません。
加速に転じるのは、その交点よりわずかに手前です。膨張が速くなる条件は つの密度が並ぶことではなく、暗黒エネルギーが物質の密度の半分を超えることだからです。図の破線がその時点です。