宇宙の大規模構造 — 銀河団・フィラメント・ボイドと、暗黒物質の骨組み

一様には散らばっていない

背景放射は、宇宙を大きく見ればどこも同じだと言っていました。では、銀河も一様に散らばっているのでしょうか。

銀河の向きだけでなく距離まで測って、地図を作ります。同じ数の点を一様に撒いた図と並べてみると、見え方がはっきり違います。

実際の銀河は、濃いところと薄いところに分かれています。何もない広い領域があり、その縁に銀河が寄り集まっています。一様に撒いた図には、こういう分かれ方は出てきません。

一様なのは、もっとずっと大きく見たときです。数億光年より大きくとれば平均は揃います。その内側には、はっきりした構造があります。

節と筋と空洞

地図を眺めると、 種類の場所が見分けられます。

まず、銀河が数百から数千も集まっているところがあります。銀河団です。構造のいちばん濃い節にあたります。

節と節は、銀河が細く連なった筋でつながっています。フィラメントといいます。地図の上では、節から節へ渡した線のように見えます。

そのあいだには、銀河のほとんどない広い領域が残ります。ボイドといいます。宇宙の体積で数えれば、その大半はこのボイドです。物がある場所のほうが例外です。

わずかな濃淡が育つ

この構造はどこから来たのでしょうか。種は、背景放射に残っていた が ほどのむらです。

濃いところは周りより重力が強いので、周りの物を引き寄せます。引き寄せたぶんさらに濃くなり、引き寄せる力もまた強くなります。

薄いところは逆です。物を取られる一方なので、ますます薄くなります。放っておくだけで差は広がっていきます。

という小さな差が、 億年かけていまの濃淡になりました。図では点を一様に撒いたところから始め、濃い向きへ寄せています。

骨組みを先に作るのは暗黒物質

育つのに時間がかかるので、順番が問題になります。晴れ上がりまで、通常の物質は光と混ざり合っていました。光の圧力に押し返されるので、集まろうとしても集まれません。

暗黒物質は光と関わらないので、その足止めを受けません。晴れ上がりよりずっと前から集まりはじめ、先に骨組みを作っていました。

晴れ上がったあと、通常の物質は光から解き放たれます。すでにできていた暗黒物質の濃いところへ落ちていき、そこで冷えて星と銀河になります。

ですから、いま見えている銀河の並びは、暗黒物質の骨組みをなぞったものです。光るものだけが見えていて、それを支えているほうは見えていません。回転曲線が要求した見えない物質が、ここでも同じ働きをしています。

宇宙論の基本