食べたものは消化されて糖になり、腸から血へ入ります。入ってくるあいだ、血糖値は上がりつづけます。
このとき体はまだ何も間違えていません。外から入ってきたぶん値が動くのは当たり前で、調節が始まるのはそのあとです。
グラフの立ち上がりが、この入ってくるぶんです。
値が上がると、すぐにインスリンが出はじめます。けれども出た瞬間に効くわけではありません。血に乗って肝臓まで運ばれ、細胞が受け取り、糖をしまう働きが動き出すまでに時間がかかります。
2 枚のグラフを縦にそろえて並べてあります。上が血糖値、下がインスリンの量で、横軸は同じ時間です。
インスリンの山は、血糖値の山より後ろへずれています。このずれが遅れです。
遅れがあるので、血糖値がいつもの値まで下がってきた時点でも、インスリンはまだ残っています。残っているぶんは働きつづけるので、値はそこで止まらず、下へ行き過ぎます。
行き過ぎると、今度は下がったことが伝わってグルカゴンが出ます。そうして値は上へ戻ります。
上がって、下がりすぎて、また戻る。この揺れは調節の失敗ではなく、遅れのある調節ならどうしても起きるものです。
ここまでを 1 枚にまとめます。糖が入って値が上がり、遅れてインスリンが効いて下がり、行き過ぎて、グルカゴンで戻る。
値がいつもの値にぴたりと止まっている時間は、実はほとんどありません。いつも少し外れていて、いつも戻ろうとしている。それが恒常性の実際の姿です。
一定に保たれているという言い方は、動いていないという意味ではありません。狭い幅から出ないように押し戻されつづけている、という意味です。