体温が下がったとき、まず動くのは神経を通した働きです。ふるえは、視床下部から筋肉へ神経が直接つながっていて、そこを電気の信号が走ります。
つながった先へ直に届くので、指示から働きはじめるまでがごく短くて済みます。グラフでは、体温が下がりはじめたのとほとんど同時に立ち上がります。
そのかわり、指示が止まれば働きもすぐ止まります。走っている信号が途切れれば、それで終わりだからです。
同じときに、血に乗るホルモンも出ています。こちらは出どころから血へ入り、体じゅうを回って届く先にたどり着きます。
運ばれるのに時間がかかり、受け取った細胞の中で働きが始まるのにも時間がかかります。グラフの立ち上がりは、神経よりずっと後ろにずれます。
そのかわり、いったん血に入ったものは、壊されて減るまでそこにありつづけます。出すのをやめても、しばらくは効き目が残ります。
2 本を同じグラフに重ねると、役割の分かれ方がそのまま形に出ます。
外れた直後を受け持つのが神経で、そこから先を受け持つのがホルモンです。神経が下がっていくころにホルモンが立ち上がるので、あいだが空きません。
速いものだけでは長く続けられず、遅いものだけでは間に合わない。両方あって、はじめて外れた直後から元に戻るまでを通して支えられます。
神経とホルモンは、どちらが優れているというものではありません。届き方が違い、その違いが向いている仕事を決めています。
すぐに始めてすぐに止めたいものは神経が受け持ちます。ふるえも発汗も、外れているあいだだけ働けばよいものです。
長く続けたいものはホルモンが受け持ちます。代謝の底上げのように、体じゅうの細胞へまとめて効かせて、しばらく続いてほしいものです。
血に乗るという届け方は、遅いかわりに、つながっていない相手にも同時に届きます。