インスリンによる調節が働かなくなるとき、切れる場所は 1 つではありません。
すい臓がインスリンを作れなくなれば、そもそも出ません。出ていても、受け取る側の細胞が反応しなくなれば、届いても何も起きません。
図の左が出どころ、右が届く先です。道すじが消えるのと、届いた先で何も起きないのとでは、同じ結果でも切れている場所が違います。
どちらの切れ方でも、血の中の糖はしまわれません。食事のたびに血糖値は上がり、そのまま下がらなくなります。
グルカゴンは出ていますが、代わりにはなりません。グルカゴンは上げるほうなので、下げる働きの穴を埋められないからです。
調節の輪は、上げる側と下げる側が両方そろってはじめて閉じます。片側が欠けた輪は、もう輪ではありません。
血糖値が高いままだと、腎臓でも変化が起きます。
腎臓は血を濾したあと、糖をすべて取り戻して血へ返しています。ところが取り戻せる量には限りがあり、血糖値が高すぎるとそこを越えます。越えたぶんは戻されず、尿へ出ていきます。
尿に糖が出るのは、腎臓が壊れたからではありません。取り戻す働きが上限まで使われて、それでも足りていない、ということです。
出なくなっているなら、外から入れれば輪は閉じます。注射したインスリンは、すい臓から出たものと同じように肝臓や筋肉へ届きます。
図では、出どころがすい臓から外へ移っただけで、そこから先は元のとおりです。値は上がっても、また戻るようになります。
ここで大事なのは、外から入れる量を体が決めていないことです。体が出していたときは、ずれの大きさに合わせて量が決まっていました。外から入れるぶんは、その加減を人が引き受けることになります。