インスリンとグルカゴン(拮抗するホルモン・血糖値の調節)

上がったら下げる

食事をすると、食べたものが糖になって血に入ります。血糖値はそのぶん上がり、いつもの値から外れます。

この上がりを見て、すい臓からインスリンが出ます。インスリンは肝臓や筋肉に届き、血の中の糖をしまうように働きかけます。糖が血から抜けていくので、血糖値は下がって戻ります。

図の矢印はすい臓から肝臓を向いています。出どころと届く先が離れていて、そのあいだを血に乗って運ばれる。これがホルモンの届き方です。

下がったら上げる

しばらく食べずにいると、血の中の糖は使われて減っていきます。血糖値は下がり、今度は反対の側へ外れます。

この下がりを見て、同じすい臓からグルカゴンが出ます。グルカゴンは肝臓に届き、しまってあった糖を血へ出すように働きかけます。糖が血へ戻るので、血糖値は上がって戻ります。

届く先はインスリンと同じ肝臓で、頼むことだけが逆です。片方はしまえと言い、もう片方は出せと言う。このように逆向きに働く 2 つを拮抗するといいます。

どちらもいつも出ている

2 つは、必要になってから出はじめるのではありません。血糖値がいつもの値にあるときも、どちらも少しずつ出つづけています。

そのときは、しまう働きと出す働きがちょうど打ち消し合っています。糖は入りも出もしているのに、差し引きで動かない。だから血糖値は動きません。

値がずれると、片方が増えて片方が減ります。上がればインスリンが増えてグルカゴンが減り、下がれば入れ替わります。調節は 0 から 1 への切り替えではなく、いつも出ている量の増え引きで起きています。

どちらかが 0 になるのは、よほど大きく外れたときだけです。

片方だけでは戻らない

2 つそろっていることの意味は、片方を止めてみると分かります。

インスリンを止めると、上がった血糖値を下げるものがなくなります。グルカゴンは上げるほうなので、代わりにはなりません。食事のたびに値は上がったきりになり、いつもの値へ戻らなくなります。これが糖尿病です。

反対にグルカゴンを止めると、下がった値を上げ直せなくなります。

調節が効いているあいだ、体の値は動いていないように見えます。止めてはじめて、動かないでいるために何が働いていたのかが見えます。