高校倫理をざっくりわかりやすく説明:3分でわかる世界の哲学史
高校倫理を初めて勉強する人に向けて、世界の哲学史をざっくり説明します。本当にざっくりしているので詳細はほとんど省いています。
ギリシア哲学
高校倫理はギリシア哲学から始まる。数千年も昔、ギリシア周辺にいた人々は「この世の根本は何か?」と考えていました。その一人がピタゴラスで、ピタゴラスは「数こそ根本だ」と考えていたようです。
やがてソクラテス、プラトン、アリストテレスが出てきました。この3人はそれぞれ重要な主張をしています。ソクラテスは「自分は何も知っていないことを知っている」というアイデアで有名です。プラトンは物事の本質や理想的な国のあり方について考えました。アリストテレスは徳や正義について考えました。
宗教
ギリシアと別の地域でユダヤ教が生まれました。国や民族の受難から「自分たちはいつか救われる」という民族宗教が起きたのです。その後、ユダヤ教の厳密なルールに批判的なイエスが現れ、イエスがキリスト教を広めました。それから数百年後、アラビア周辺でムハンマドがイスラム教を起こしました。
一方、やはり紀元前の大昔、インド周辺で仏教が生まれ、中国に伝わり、最後は日本までやってきました。
ルネサンスと宗教改革
倫理で「え?どうして?」と思うところですが、キリスト教が出てきた後、なぜか時代が千年以上も飛びます。いきなり16世紀のヨーロッパでルネサンスと宗教改革が起きます。
中世のヨーロッパは人間のいきいきとした芸術的・学問的才能が注目され、さまざまな文化と技術が発展します。ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの芸術家が絵画や建築で大きな成果を残しました。またニュートンやデカルトなどの科学者が天文学や物理などの学問を作っていきました。
当時はキリスト教の教会がヨーロッパで支配的でしたが、内部は腐敗していました。教会への不満と怒りが「宗教改革」という大きな社会運動につながり、ルターとカルヴァンなどが起こした宗教改革は新しいキリスト教、プロテスタントを生みました。
古いキリスト教(カトリック)と新しいキリスト教(プロテスタント)の対立は政治にも届き、大きな戦争の火種にもなりました。
民主主義
現代は国民が主権を持っていますね。しかし中世まではどの国も王が主権を持っていました。王から国民に主権が移るためにはダイナミックな社会活動と犠牲者と長い年月が必要でした。
現在の民主主義はホッブズ、ロック、ルソーがおおまかな原理を考え、ロックとルソーの思想はフランス革命やアメリカ独立宣言などにつながりました。現代社会の原型はこの辺でひとまず作られたわけです。
社会主義
イギリスで産業革命が起きて生産力が上がると、機械が人間に代わって製品を作るようになりました。機械や工場を持つ資産家と普通の労働者の格差が広がると、マルクスが共産主義という概念から資本主義を批判しました(正確ではない)。
マルクスの思想は世界中の社会運動に影響を与え、ロシアは革命が起きて社会主義のソ連になりました。
結論
実際はもっとありますが、歴史の大きな流れはこのような感じです。この流れをおさえておけばとりあえずオッケーです。まとめてみましょう。
- ギリシア哲学
- 宗教
- ルネサンスと宗教改革
- 民主主義
- 社会主義
まず学問らしいもの(ギリシア哲学)が出てきて、宗教も生まれる。ギリシア哲学と宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は成立の原動力がまったく異なります。ギリシア哲学は基本的にお金持ちで自由のある人たちが作り、宗教はそれと真逆の人々(苦難に満ちた人々)が作ったのです。
つまり古代の歴史は
- 自由な人たちの思想
- 不自由な人たちの思想
が独立した形で作ったといえます。そしてこの2つはそのままルネサンスと宗教改革につながります。
ギリシア → ルネサンス
キリスト教 → 宗教改革
ルネサンスはギリシア・ローマ時代の文化の復興がもともとの意味です。究極的にいえば、古代から中世の歴史は、ギリシアと宗教(特にキリスト教)の発展の歴史です。
ここまでは中世です。その後、ルソーなどの思想家が民主主義のもとになるアイデアを作り、マルクスがソ連を作ることになる共産主義を生みます。民主主義は多くの国の社会を支えるものになり、共産主義は現代の社会主義国を支えるものになりました。
以上のようにざっくり考えれば、教科書の複雑な説明もスッキリ見えてくるはずです。教科書で一番重要なポイントは
- ギリシア哲学
- キリスト教
- ルネサンスと宗教改革
- ロックとルソー
- マルクス
あたりになります。