希硫酸と濃硫酸は性質が異なる。
濃硫酸の水に関わる性質
濃硫酸は「水を強く欲しがっている」水溶液と考えるとわかりやすい。喉がカラカラというイメージ。水蒸気を含む気体を濃硫酸に入れると、気体から水分がほぼ完全に奪われる。これを吸湿作用という。
スクロースなどの有機化合物に濃硫酸を垂らすとスクロースが炭になってしまう。濃硫酸がスクロースに含まれる水を吸いとってしまう(正確には、化合物に含まれる酸素と水素を水という形で奪う)からだ。これを脱水作用という。
硫酸が危険な薬品であることがわかる。
2番目の動画はまねしてはいけない。素手で濃硫酸を扱ってはいけない。スクロースを脱水すると体積が膨らんで炭素だけになるという実験。
参考
乾燥剤と気体
濃硫酸の希釈と注意点
濃硫酸を希釈する時は、大量の水の中に濃硫酸を少しずつ加えるようにする。
逆はやってはいけない。つまり濃硫酸に水を加えてはいけない。濃硫酸に水を加えると、水が濃硫酸の表面にとどまり、温度が急に上昇して突沸が起き、硫酸が飛び散ってしまう。
上の動画は濃硫酸の誤った使い方であり、まねしてはいけない。
水が濃硫酸の表面にとどまるという点がポイント。濃硫酸は水に比べて密度が非常に大きいため、水が簡単に沈みこまないのだ。
温度が急激に上昇するという点もポイント。濃硫酸の溶解熱は非常に高く(95.3kJ)、濃硫酸を水に溶かすと大量の熱が放出される。