
デカルトはフランスの哲学者・数学者で、演繹法や物心二元論といった思想を説きました。大陸合理論の系譜にいます。
演繹法
演繹法とは、普遍的に正しい命題から、正しい論理によって次の命題を見つけていく方法のこと。三段論法(下例)は演繹法の一つです。
人はほ乳類
ほ乳類は恒温動物
人は恒温動物
デカルトはベーコンやロックと違い、人は生まれついて理性をもつと考え、学問と科学の発展のためには演繹法が必要と説きました。
演繹法から正しい知識を見つけるためには、次の四つの規則を守る必要があります。
規則 | 意味 |
---|---|
明証性の規則 | 明らかなものだけを真実とする |
分析の規則 | 問題を小さく分けて考える |
統合の規則 | 単純なものを合成して複雑なものを考える |
枚挙の規則 | くまなく見落とさない |

私(デカルト)は理性を良識と呼ぶ。
人は平等に良識をもつが、正しく使うとは限らない。良識は大切だが、その使い方も同じように大切!
考える私
演繹法にとって根本的な原理はとても大切です。論理を組みたてる出発点にミスがあったら、演繹法による過程も結論もすべて誤りです。
誤った原理
論理
誤った結論
「なにが出発点か?」「絶対に正しい真実はなにか?」と考えると、すべてにミスがあるような気もします。
デカルトはこの思考する主体を「考える私」として、すべてについて正しいか正しくないか疑いました。これを方法的懐疑といいます。
そして「今こうして疑っている私」がまぎれもない真実だと気づきました。これは
物心二元論
デカルトは物質と精神を分けて考えました。
世界や物質は、自分の心と関係なく運動します。りんごは自分の意志に関係なく落ちる。これは世界と精神が分かれている証左です。
このように自分の外側と内側を分けることを物心二元論(mind–body dualism)といいます。
二元論そのものはプラトンの思想にもあります。
デカルトの物心二元論は(他のさまざまな思想とともに)機械論的自然観の基礎になりました。

延長と座標
物心二元論をもとに、デカルトは物質の体積に注目しました。
物質がそこにあるのは、物質が空間を占めているから。この意味で物質は「延長」と言えます。一方、精神は空間を占めないので「延長」はない。
「延長」をより具体的に分析するために、デカルトは「座標」という概念をつくりました。中学校から数学で習ってきた座標はデカルトのアイデアです。
高邁の精神
デカルトは理性にしたがって感情をコントロールする精神を「高邁の精神」と呼びました。