等温過程・等圧過程・等積過程・断熱過程の比較

熱力学では、気体の状態変化を「過程」として分類します。どの物理量を一定に保つかによって、系の振る舞いは大きく異なります。ここでは4つの基本的な熱力学的過程を比較していきます。

等温過程(isothermal process)

等温過程は温度 を一定に保ったまま行う状態変化です。理想気体では内部エネルギーは温度のみに依存するため、等温過程では内部エネルギーの変化がゼロになります。

熱力学第一法則 より、系が受け取った熱はすべて仕事に変換されます。等温過程での仕事は次の式で表されます。

等温過程を実現するには、系を熱浴と接触させながらゆっくりと変化させる必要があります。

等圧過程(isobaric process)

等圧過程は圧力 を一定に保つ状態変化です。大気圧下での加熱や冷却が典型例で、日常的に最もよく見られる過程といえます。

等圧過程での仕事は単純に次のように計算できます。

この過程では系に加えた熱の一部が仕事に使われ、残りが内部エネルギーの増加に寄与します。

等積過程(isochoric process)

等積過程は体積 を一定に保つ状態変化です。体積が変化しないため、系は外部に仕事をしません。

したがって、系に加えた熱はすべて内部エネルギーの増加に使われます。

密閉容器内での加熱がこの過程に相当します。

断熱過程(adiabatic process)

断熱過程は系と外部との間で熱の出入りがない状態変化です。

断熱過程では、仕事をした分だけ内部エネルギーが減少し、温度が下がります。逆に、外部から仕事をされると温度が上がります。断熱過程での圧力と体積の関係は次のポアソンの式で表されます。

ここで は比熱比です。

4つの過程の比較

過程一定量仕事
等温温度 T
等圧圧力 P
等積体積 V
断熱熱量 Q = 0
PV 図での表現

等温過程は双曲線、等圧過程は水平線、等積過程は垂直線、断熱過程は等温線より急な曲線として描かれます。

実際の応用

エンジンのサイクルはこれらの過程を組み合わせて構成されています。カルノーサイクルは等温過程と断熱過程の組み合わせです。

これらの過程を理解することで、熱機関の動作原理やエネルギー変換の効率を分析できるようになります。