断熱変化とポアソンの関係式

断熱過程では、気体が外部と熱をやり取りせずに膨張・圧縮します。このとき、圧力・体積・温度の間には特別な関係が成り立ちます。この関係を定式化したものがポアソンの関係式です。

ポアソンの関係式

断熱過程における理想気体の状態変化は、次の3つの等価な式で表されます。

ここで (ガンマ)は比熱比と呼ばれ、定圧比熱と定積比熱の比として定義されます。

比熱比の値

比熱比は気体分子の自由度によって決まります。

気体の種類自由度比熱比 γ
単原子分子35/3 ≈ 1.67
二原子分子57/5 = 1.4
多原子分子6以上1.3程度

空気は主に窒素と酸素(どちらも二原子分子)で構成されているため、 となります。

導出の概要

断熱過程では なので、熱力学第一法則は次のようになります。

理想気体の内部エネルギーは なので、

ここに理想気体の状態方程式 を用いて整理すると、ポアソンの式が得られます。途中、マイヤーの関係式 を使います。

断熱変化の特徴

等温変化との違い

等温変化では ですが、断熱変化では となり、 なので断熱曲線は等温曲線より急勾配になります。

物理的意味

断熱膨張では気体が仕事をする分だけ内部エネルギーが減少し、温度が下がります。断熱圧縮ではその逆で温度が上がります。

断熱変化の具体例

断熱変化は身近なところでも起きています。

ディーゼルエンジン

空気を断熱圧縮すると高温になります。ディーゼルエンジンはこの原理を利用し、圧縮だけで燃料を自己着火させます。

フェーン現象

山を越える空気が断熱膨張で冷え、水蒸気が凝結して雨を降らせます。山を越えた後は乾燥した空気が断熱圧縮で温まり、高温の風となって吹き下ろします。

ポアソンの関係式は、熱機関の効率計算やサイクルの解析において基本的な道具となります。