星間の気体とダストを光と電波で調べる

作れるどんな真空より薄い。ただし量が桁違いに多い

通常の星間空間には、1 立方センチメートルに原子が 1 個ほどあります。実験室で作れる最高の真空でも 1 立方センチメートルに 10^{10} 個ほどなので、宇宙空間は私たちが作れる一番空っぽなものより、さらに 100 億倍薄いことになります。

それでも問題になるのは、体積があるからです。距離が大きすぎるので、足し上げると銀河にある星ぜんぶの質量の 1 割ほどになります。

温度は幅広く散らばっています。冷たい雲は 10 から 100 K です。熱い星の近くの気体は電離していて 10^{4} K ほどあります。超新星に押しのけられた気体は 10^{6} K に達し、そのあいだに大きな泡を作って広がっています。

質量のうち 1 パーセントほどは、気体ですらありません。炭素やケイ酸塩の固い粒で、大きさは光の波長ほどです。この 1 パーセントが、見えないものの大半を作っています。

ダストは青から先に取る

光の波長ほどの大きさの粒は、光を散らしたり吸ったりします。しかも波長の短いほうを、長いほうより強く相手にします。だからダストのあるところを通ってきた光は、暗くなるだけでなく赤くなります。

暗くなるだけなら厄介ごとです。ダストの向こうにある星は本当より暗く見えるので、距離指数が距離を過大に見積もり、明るさの上に立てた測りものがみな狂います。

助けになるのが赤くなるほうです。暗くなる量と赤くなる量は決まった比で結ばれているので、色指数を測れば赤くなった量が分かり、そこから暗くなった量を割り出して直せます。

前の記事の色指数がここでも働くのは、そのためです。スペクトル型から決まる本来の色と、実際に見えている色を比べれば、その差が途中にあるダストの量になります。

雲は 1 種類。見え方が 3 通りある

雲そのものは光を持ちません。どう見えるかは、たまたま近くに何があるかだけで決まり、場合は 3 つです。

中に熱い星があれば、その星の紫外線が水素から電子をはぎ取ります。電子が戻るときに雲そのものが光り、水素が出す決まった波長で光ります。これが散光星雲で、赤く見えるのは水素の色です。

近くに星はあるが、電離させるほど熱くない場合、雲は届いた光をただ散らします。波長の短いほうがよく散るので、雲は青く見えます。これが反射星雲で、空が青いのと同じ理屈です。

近くに星がまったくなければ、雲は後ろをさえぎるだけになります。星の並びに空いた穴として見えます。この暗黒星雲は、長いあいだ銀河に空いた本物の穴だと思われていました。

長さ 21 cm の波はまっすぐ抜ける

冷たい中性の水素は、目に見える光をほとんど出しません。銀河で一番多いものなのに、長いあいだほとんど見えないままでした。

見る手だては小さなところにあります。陽子も電子も小さな磁石のようにふるまい、2 つの向きがそろっているときのほうが、逆を向いているときよりわずかにエネルギーが高くなります。そろった側から逆の側へ落ちるとき、その差が光子として出ます。その光子の波長が 21 cm です。

原子 1 個で見れば、この入れかわりは 1000 万年に 1 度ほどしか起きません。見込みのない話に思えますが、原子の数が桁違いに多いので、銀河はその波長で絶えず光っています。

波長がダストの粒よりずっと長いので、ダストは邪魔をしません。21 cm の電波は銀河ぜんたいを抜けてきます。目に見える光では越えられない円盤の向こう側も含めてです。私たちの銀河の地図は、これで描かれました。

1 周まわるたびに、前より多くを残していく

材料は 1 度使って終わりではありません。雲が落ちて星になり、星が中で重い元素を作り、終わるときにそれを返し、返されたものが次の世代の雲になります。

返し方は 2 通りです。軽い星は惑星状星雲として外側をおだやかに手放します。重い星は超新星で吹き飛ばし、そのとき近くの気体を押し縮めるので、次の落ち込みの引き金にもなります。

この輪は、まわって同じところへ戻るものではありません。1 周するごとに、返される材料は前の世代が作った重い元素を余計に抱えています。次の雲は、前の雲より豊かなところから始まります。

太陽は、この輪を何度もくぐったあとの材料からできました。地球にある水素とヘリウム以外のものはみな、太陽が生まれる前に終わった星の中で作られたものです。骨のカルシウムも、血の中の鉄も、同じところから来ています。

星を測る
恒星の構造と進化
元素と星間物質
宇宙の膨張