星の明るさを表す等級と距離指数・色指数

等級は、明るさの比を段にした目盛

ヒッパルコスは、見える星を 6 つの段に分けました。いちばん明るいものが 1 等、やっと見えるものが 6 等です。何も測っていない大まかな分け方でしたが、それが 2000 年使われ続けました。

のちに実際に測ってみると、1 等の星は 6 等の星のおよそ 100 倍でした。そこで目盛のほうをそれに合わせ、5 等級の差をちょうど 100 倍と決め直しました。

すると 1 等級は 100^{1/5}、およそ 2.512 倍になります。式で書けば m_2 - m_1 = 2.5 \log \dfrac{F_1}{F_2} で、F は届いている光の量です。

覚えておくことは 1 つだけで、数が小さいほど明るい、ということです。昔の 1 等より明るいものは 0 を通り越して、負の数になります。

見かけの等級は、ここへ届いた量

1 本の目盛に並べると、太陽が -26.7、満月が -12.7、いちばん明るいときの金星が -4.4 ほど、シリウスが -1.5、ベガが 0.0 です。ベガがちょうど 0 なのは偶然ではなく、この星に目盛を合わせたからです。

肉眼はだいたい 6 等で見えなくなります。大型望遠鏡は 27 等ほどまで届きます。太陽からそこまでで 54 等級近く、明るさの比にすれば 10^{21} 倍を超えますが、それが 1 本の目盛に乗ります。

対数の目盛はそのためのものです。目そのものが差ではなく比で感じるようにできているので、比で作った目盛は目の感じ方にそのまま合います。

ただし、ここに並んだ数はどれも届いた量です。それだけでは星について何も言えません。近くにある暗い星と、遠くにある猛烈な星が、同じところに並んでしまいます。

絶対等級は、全部の星を同じ距離に置き直す

星そのものを比べるには、距離を外さなければなりません。そのやり方は、その星を決まった距離へ持っていったら何等になるか、と問うことです。

その決まった距離が 10 パーセクで、そこでの等級を絶対等級といい M と書きます。見かけのほうは m と書きます。

太陽の絶対等級は 4.8 ほどです。10 パーセクへ置けば、肉眼でやっと見えるかどうかの星になります。太陽がどれくらいありふれた星かが、この数によく出ています。

絶対等級は、光度の言い換えです。HR 図の縦軸はどちらで書いてもよく、実際どちらも使われます。

2 つの等級の差が、そのまま距離になる

m と M の違いは星をどこへ置いたかだけなので、その差には距離しか入っていません。式は m - M = 5 \log d - 5 で、d はパーセクです。この差を距離指数といいます。

決めた距離で確かめます。10 パーセクなら差は 0 で、そうでなければ困ります。100 パーセクなら 5、10000 パーセクなら 15 です。

量が 3 つで式が 1 本なので、2 つ分かれば残りが出ます。年周視差で距離が分かっていれば M が出ます。主系列の目盛は、もともとそうやって合わせたものです。

逆から使えば、距離を測る道具になります。ふるまいから M が分かるものを見つけ、その m を測れば、差から d が出ます。年周視差より先のはしごは、どの段もこのやり方です。

フィルター 2 枚で温度が読める

星を細かいスペクトルに広げるには長い露出が要ります。温度だけでよいなら近道があります。違うフィルターを 2 枚通して等級を測り、その差を取ればよいのです。

よく使う組み合わせは、440 nm あたりの青を通す B と、目がいちばんよく感じるあたり、550 nm あたりを通す V です。この差 B - V を色指数といいます。

熱い星は青の側でまだ曲線が高いので、V より B のほうがたくさん通り、B - V は小さいか負になります。冷たい星は逆で、B - V は大きくなります。ベガはここでもちょうど 0 と決められています。

実際の HR 図の横軸は、これです。温度ではなく B - V で描かれるので、軸は左が熱く右が冷たいという向きになります。逆に見えるあの向きは、ここから来ています。

星を測る
恒星の構造と進化
元素と星間物質
宇宙の膨張