ベンゼンから三方向へ分かれる

芳香族の系統は、ベンゼンを左端に置いて三方向へ読みます。上はニトロ化からアニリンへ、下はスルホン化からフェノールへ、まっすぐ進む道は付加でシクロヘキサンへ行きます。

左の系統パネルで系統を選び、図の点を押すと化合物が、矢印を押すと反応が出ます。反応パネルの実行を押すとフラスコの中で反応が進みます。比較パネルの棒グラフは、軸を沸点・分子量・酸の強さに切り替えられます。パネルはヘッダーを掴んで動かせ、四辺と四隅で大きさを変えられます。タイトルをダブルクリックすると、右上の定位置に固定されます。

ベンゼンは付加より置換が起きやすい環です。濃硝酸と濃硫酸の混合物を 60 ℃ で作用させるとニトロ基が入り、濃硫酸を加えて加熱するとスルホ基が入ります。どちらも環の水素 1 個と入れ替わるだけです。

ニトロベンゼンをスズと濃塩酸で還元すると、アニリンが塩酸塩の形で得られます。水酸化ナトリウムを加えて遊離させると、油状のアニリンが分かれて出てきます。アニリンを 5 ℃ 以下で亜硝酸ナトリウムと塩酸に会わせると塩化ベンゼンジアゾニウムになり、ナトリウムフェノキシドとつなぐと橙赤色のアゾ染料になります。低温を保つのは、温度が上がるとジアゾニウム塩が分解してフェノールに変わってしまうからです。

フェノールは、ベンゼンスルホン酸ナトリウムを水酸化ナトリウムと融解し、できたナトリウムフェノキシドに酸を加えて遊離させると得られます。二酸化炭素を吹き込むだけで遊離するのは、フェノールが炭酸より弱い酸だからです。この一段が、分離のところでフェノールと安息香酸を分けられる理由そのものです。

フェノールに水酸化ナトリウムと二酸化炭素を高温高圧で作用させ、酸を加えるとサリチル酸になります。サリチル酸はヒドロキシ基とカルボキシ基を両方持つので、行き先が 2 つに分かれます。無水酢酸を作用させるとヒドロキシ基側がエステルになってアセチルサリチル酸、メタノールと濃硫酸を作用させるとカルボキシ基側がエステルになってサリチル酸メチルです。