3分子のカルボン酸とグリセリンで油脂になるが、油脂と水酸化ナトリウムで3分子のカルボン酸ナトリウムとグリセリンになる。
エステル化
カルボン酸+グリセリン→油脂+水
けん化
油脂+水酸化ナトリウム→カルボン酸ナトリウム+グリセリン
セッケン
上のカルボン酸ナトリウムをセッケンという。セッケンはカルボン酸の末端についている水素イオンをナトリウムイオンに変えた物質である。
セッケンの構造
セッケンはRCOONaであり、一般的にRは長い(炭素が多数つながっている)。
セッケンを上図のように書く。長いRとふくらんでいるCOOに注目。Rは疎水性、COOは親水性であり、セッケン分子を水中に放つと下図のように親水性部分であるCOOどうしがくっつくように球を形成する。
生物を選択している方は見覚えがあると思う。この球をミセルという。
セッケンのしくみ
皿を洗うとき、あるいは衣服を洗うときを想像してみよう。洗うものの汚れはたいてい油を含んでいる。油は水と仲が悪く、セッケン分子でいえば親水性部分COOと仲が悪い。
しかし汚れはセッケン分子の疎水性部分Rと仲がいい。そのためセッケンと汚れをいっしょに混ぜると、セッケンのRが汚れを囲むようにミセルを形成する。
セッケンの種類
高校化学では次のセッケンを扱う。
- 硫酸アルキルナトリウム(AS)
- 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
硫酸アルキルナトリウムはROSO3Naである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムはR◆SO3Na(◆はベンゼン環)。どちらも硫酸エステルを中和したもの。
補足
ベンゼンスルホン酸ナトリウムはナトリウムフェノキシドをつくるときに出てくる。
ベンゼンスルホン酸ナトリウムをアルカリ融解するとナトリウムフェノキシドと亜硫酸ナトリウムができる。