ニーチェの思想(ニヒリズム、力への意志、超人など)|高校倫理
ニーチェは実存主義の思想家です。キリスト教と決別して、自分の力で人生を作っていく重要性を説きました。キルケゴールがキリスト教に依存したことと対照的です。
主な著作
- 『ツァラトゥストラはこう語った』
- 『善悪の彼岸』
- 『力への意志』
『力への意志』はニーチェの妹がニーチェの死後に刊行した本です。厳密に言うと本人の著作ではありませんが、「力への意志」はニーチェ本人が主張していたアイデアです。高校倫理でもキリスト教を脱して自立する力強さを「力への意志」と説明しています[1]。
画像引用:ウィキメディア・コモンズ、パブリック・ドメイン
キリスト教の批判
ニーチェはキリスト教を奴隷道徳と批判しました。弱い者が自分で自分を解決できないから、神にすがって本来の自分を見失う。この「見失った状態」をニヒリズム(虚無主義)といいます。
当時のドイツとヨーロッパはニヒリズムに陥っていた[1]。ニヒリズムの世界では弱者は強者に嫉妬と怨恨(ルサンチマン)を抱く。本来の自己をとりもどすには、ルサンチマンを捨てて力を求めなければいけない。
[ad]
力への意志
「力への意志」はニーチェの重要なポイントであり、妹が死後に出版した本のタイトルでもあります。
ニーチェは「神は死んだ」と言い、キリスト教的世界観が本来の人間を堕落させていると説きました。力を求める意志を持ち、ニヒリズムを超える存在「超人」を目指さないといけない。
永劫回帰
世界は同じところを回っているという概念をニーチェは「永劫回帰」と呼びました。有限の空間に有限の分子があれば、まったく同じ状態が永遠に続くはず。何をやっても結局は同じ未来が待っているという世界に意味はない。
この意味のない世界で自分の運命をきちんと認識することが重要だとニーチェはいいます。意味のないくりかえしを超えるような存在も「超人」です。
つまり超人とは
- キリスト教が崩壊したニヒリズムを超える存在
- 永劫回帰で無意味にくりかえされる世界を超える存在
というわけです。
参考文献
[1]高等学校新倫理、平成29年、清水書院、119