ハイデガーと現存在(高校倫理)
ハイデガーは「存在と時間」などを著したドイツの哲学者。現象学のフッサールの思想を受けついで、現存在や死への存在といった概念を提唱しました。
現存在
存在を問う存在をハイデガーは現存在といいます。現存在は世界のさまざまなものと関わる。この意味で現存在は世界の内に投げだされている(世界内存在)。
私たちは一人で生きているわけでなく、他者と関わって生きている。すべての人は世界の中で生きている世界内存在といえます。
ダスマン
私は本来「私」という独自の存在ですが、自分と他人を交換できるような someone として、自分の独自性を自覚してないで生きている人もいます。ハイデガーはこうした存在をダスマンと呼び、本来の生き方ではないとしました。
自分は自分であるという実存の自覚は、死を直視するときに生まれる。ハイデガーはこの意味で現存在を「死への存在(死へとかかわる存在)」と考えました。死を自覚するとき、人は人生の有限性に気づいて本来の自己をとり戻す。
存在の忘却
ハイデガーによれば、西洋の文明が発展し、人間はもはや自分の存在を問うことなく生きている(存在の忘却)。だからこそ自分たちが社会とどのように関わりながら生きていくべきかという、という議論が生まれる。
ハンナ・アーレント
ハイデガーはハンナ・アーレントに影響を与えた人物としても知られています。こちらの記事も参考にしてください。