老子の思想(センター試験「高校倫理」対策問題つき)
老子は古代中国の思想家。老子と荘子は諸子百家の「道家」を代表し、二人の思想をあわせて老荘思想といいます。
老子は無為自然、柔弱謙下、小国寡民を説きました。老子のポイントは 4 つあります。
思想 | 内容 |
---|---|
道 | 万物を生むもの、言葉で説明できないもの |
無為自然 | 道にしたがって小賢しい知を捨てる |
柔弱謙下 | 人と争わず、謙虚に生きる |
小国寡民 | 理想的な国は小さく、人が少ない |
道家の道は万物を生むなにかです。老子においては、いたずらに知を身につけず、道にしたがってありのままに生きること(無為自然)、そして謙虚さを持つことがいい生き方とされます。
オリジナル問題
次の文のうち、不適当なものを選びなさい。
- 老子は人にへりくだって平和に徹する柔弱謙下の生き方を重視し、荘子は様々な対立に惑わされず自由に生きていく生き方を重視した。
- 墨子の平和的思想は、人を分け隔てなく愛しても自身に利は返ってこないが、社会秩序のために兼愛はどうしても必要であるというもの。
- 朱子学では敬を持ち、理について探求する必要性が説かれるが、これを居敬窮理という。
- 政治のあり方として、孔子は法治主義を批判した代わりに徳治主義を唱え、韓非子は性悪説の立場から法治主義を唱えた。
解答
2 が不適当。墨子にとって、兼愛は自分に利益があります(兼愛交利)。
1 は正しい。老子の柔弱謙下は、謙虚な姿勢で争いを避けることを意味します。
センター試験(2023 年・第一問・問 2)改
様々な宗教や思想とそれに基づいた生き方についての説明として最も適当なものを選びなさい。
- パリサイ(ファリサイ)派は、律法によって人々の生活を厳格に規定しようとする態度を批判し、ユダヤ教徒としてより柔軟な生き方を求めた。
- アリストテレスは、倫理的徳に基づいた政治的生活を送ることが人間にとって最も望ましい生き方であり、最高の幸福をもたらすと考えた。
- ジャイナ教の信者はその多くが、不殺生の戒めを遵守することができる農業従事者として生活していた。
- 老子は、自然に身を委ね、村落共同体のような小さな国家において素朴で質素な生活に満足する生き方を理想とした。
解答
4 の老子が正解。「自然に身を委ね」は無為自然、「村落共同体のような小さな国家」は小国寡民、「素朴で質素な生活に満足する」は柔弱謙下を意味し、老子の思想は正しく記述されています。
1 は誤り。パリサイ派はむしろ律法を厳守します。イエスはその形式的な姿勢を批判しました。
2 は「政治的生活」でなく「観想的生活」が正しい。最高善と幸福は観想的生活によって達成される。観想(テオリア)とは真理の追求のこと。