滴定曲線の読み方(pH 跳躍が起きる理由と濃度による違い)

はじめのうち pH はほとんど動かない

0.10 mol/L の塩酸 10.0 mL に、0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を落としていきます。

5 mL 落としたところで、pH はまだ 1.5 ほどです。半分も入れたのに、はじめの 1.0 からほとんど動いていません。

残っている H⁺ の数を数えると分かります。はじめに 1.0 mmol あった H⁺ が、5 mL 入れて 0.5 mmol になりました。半分に減ってはいますが、pH は桁を数える目盛りです。数が半分では 0.3 しか動きません。液が薄まったぶんを足しても、動いたのは 0.5 ほどです。

中和点の近くで一気に跳ぶ

9.9 mL まで入れると、残った H⁺ は 0.01 mmol です。10.1 mL まで入れると、こんどは OH⁻ が 0.01 mmol 余ります。そのあいだ、わずか 0.2 mL です。

この 0.2 mL のあいだに pH は 3.3 から 10.7 まで、7 以上も跳びます。図の曲線がほぼ垂直に立っているところがそれです。

跳ぶ理由は、残りが少なくなるほど、同じ 1 滴が桁を大きく変えるからです。1.0 mmol から 0.5 mmol へ減っても桁は 0.3 しか動きませんが、0.01 mmol から 0.001 mmol へ減れば桁は 1 動きます。中和点のそばでは、1 滴で残りが 10 分の 1 にも 100 分の 1 にもなります。

中和点を過ぎると塩基が余る

ちょうど 10.0 mL のところが中和点です。H⁺ と OH⁻ が同じ数だけあって、どちらも余りません。残っているのは NaCl の水溶液で、pH はちょうど 7.00 です。

ここを過ぎると、こんどは入れた OH⁻ が余りはじめます。11 mL で pH は 11.7、15 mL で 12.3 です。

曲線がまた寝るのは、跳ぶときと同じ理屈です。余った OH⁻ が増えるほど、次の 1 滴が桁を変える力は小さくなります。曲線は S 字を横に倒したような形になります。

跳躍の幅は濃度で変わる

図には、濃度を 10 分の 1 にした 0.010 mol/L どうしの曲線も重ねてあります。中和点の位置は同じ 10.0 mL のままです。

違うのは跳躍の幅です。0.10 mol/L では pH 3.3 から 10.7 まででしたが、0.010 mol/L では 4.3 から 9.7 までしかありません。上下から 1 ずつ削られています。

薄い液ほど跳躍は短くなります。短くなれば、その中に変色域が収まる指示薬は少なくなり、終点も読み取りにくくなります。滴定に使う液の濃度が 0.1 mol/L あたりに決まっているのは、このためです。