弱酸の滴定曲線(中和点が塩基性になる理由と半中和点の pH = pKa)

弱酸ははじめの pH が高い

0.10 mol/L の酢酸 10.0 mL を、同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液で滴定します。図には、同じ濃度の塩酸の曲線も重ねてあります。

落とす前の pH を比べてください。塩酸は 1.0 ですが、酢酸は 2.9 です。同じ濃度なのに 2 近く高いところから始まります。

酢酸はほとんどが分子のままで、H⁺ を出しているのは 100 個に 1 個ほどだからです。溶かした酸の濃度は同じでも、実際に液の中にいる H⁺ の数がまるで違います。

途中は緩衝液になっている

落としはじめると、酢酸の曲線はしばらくほとんど寝たままになります。塩酸の曲線より、はっきりと平らです。

このあいだ、ビーカーの中には酢酸 CH₃COOH と、中和されてできた酢酸イオン CH₃COO⁻ が両方あります。これは緩衝液そのものです。落とした OH⁻ は、残っている CH₃COOH が受け止めてしまいます。

ちょうど半分の 5.0 mL を落としたところでは、CH₃COOH と CH₃COO⁻ が同じ数になります。そのとき pH は pKa に等しく、4.76 です。滴定曲線から pKa を読み取れる、というのはこの点のことです。

中和点に残るのは弱酸の塩

10.0 mL でちょうど中和が終わります。このとき液に残っているのは酢酸ナトリウム CH₃COONa の水溶液です。

CH₃COO⁻ は水から H⁺ を奪って CH₃COOH に戻ろうとします。奪われた水には OH⁻ が残るので、液は塩基性になります。

中和点の pH は 7 ではなく 8.7 ほどです。図で、酢酸の曲線が中和点を通る高さを見てください。塩酸の曲線がちょうど 7 を通るのに対して、こちらは上へずれています。中和が終わったのに中性でないのは、残った塩が水と反応するからです。

跳躍は塩基側に寄って短くなる

跳躍の下の端は、緩衝作用のせいで高いところまでしか下がりません。上の端は塩基が余るところなので、塩酸のときと変わりません。その結果、跳躍は塩基側へ寄り、幅も短くなります。

塩酸では pH 3.3 から 10.7 まで跳びましたが、酢酸では 6.8 から 10.7 までしかありません。幅はおよそ半分です。

だから指示薬を選び直さなければなりません。変色域が pH 3.1 から 4.4 のメチルオレンジは、この跳躍のはるか下にあって使えません。8.0 から 9.8 のフェノールフタレインが、跳躍の中に収まります。