中和滴定の指示薬(変色域とフェノールフタレイン・メチルオレンジ・BTB の使い分け)

指示薬は決まった pH の幅で色が変わる

指示薬そのものが弱い酸です。H⁺ が付いた形と外れた形とで色が違うので、まわりの pH によって見える色が変わります。

色が入れ替わる pH の幅を変色域といいます。メチルオレンジは pH 3.1 から 4.4 で赤から橙へ、BTB は 6.0 から 7.6 で黄から青へ、フェノールフタレインは 8.0 から 9.8 で無色から赤へ変わります。

変色域はその指示薬に固有のもので、動かせません。図の 3 本の帯が、pH の物差しのどこに乗っているかを表しています。

跳躍の中に変色域が収まるものを選ぶ

滴定曲線は中和点の前後で垂直に立ちます。この立っているあいだに変色域を通り抜ければ、色が変わるのは 1 滴のうちです。

逆に、変色域が跳躍から外れていたらどうなるでしょうか。曲線が寝ているところを横切ることになるので、色は何 mL もかけてゆっくり変わります。どこで止めればよいのか分からなくなります。

選ぶ基準はこれだけです。跳躍の中に変色域がすっぽり入るものを選ぶ。このツールの条件のパネルには、いまの組み合わせで使える指示薬が出るようにしてあります。

強酸と強塩基ならどれでも使える

0.1 mol/L どうしの塩酸と水酸化ナトリウムでは、跳躍が pH 3.3 から 10.7 まであります。

図で 3 本の帯を重ねてみてください。メチルオレンジも BTB もフェノールフタレインも、どれもこの中に収まっています。

この組み合わせなら、どの指示薬を使っても終点は中和点とほとんど変わりません。指示薬の選び方が問題になるのは、跳躍が短くなる組み合わせのときです。

弱酸や弱塩基が入ると選べる指示薬が減る

酢酸を水酸化ナトリウムで滴定すると、中和点が塩基性に寄り、跳躍は 6.8 から 10.7 になります。メチルオレンジの帯は、この下端よりさらに下にあって使えません。残るのはフェノールフタレインです。

塩酸をアンモニアで滴定すると、こんどは中和点が pH 5.3 と酸性に寄り、跳躍は 3.3 から 7.3 ほどになります。使えるのはメチルオレンジのほうで、BTB もフェノールフタレインも上へ外れます。

酢酸をアンモニアで滴定すると、跳躍そのものがほとんどありません。曲線は中和点でもなだらかに上がるだけです。このときはどの指示薬を使っても終点を読めません。弱酸と弱塩基の組み合わせを滴定に使わないのは、このためです。