中和が終わったところでは、H⁺ も OH⁻ も余っていません。つまり、酸が出した H⁺ の物質量と、塩基が出した OH⁻ の物質量がちょうど同じです。
図の 2 本の棒がそれです。落とすほど右の棒が伸びていき、左の棒と同じ高さになったところが中和点です。
比べているのは濃度ではなく物質量です。濃い液を少し落としても、薄い液をたくさん落としても、出てくる OH⁻ の数が同じなら同じところで中和が終わります。
c mol/L の液が V mL あるとき、その中の物質量は c × V/1000 mol です。1000 で割るのは、mL を L に直すためです。
ここから、中和の関係は a × c × V = b × c′ × V′ と書けます。左が酸、右が塩基で、c と V が濃度と体積です。
この式には未知の数が 1 つしか入っていない、という形で使います。濃度の分かっている液を落として、その体積を読み取れば、残りの 1 つが決まります。
a と b は、酸 1 分子が出せる H⁺ の数、塩基 1 分子が出せる OH⁻ の数です。価数といいます。
塩酸 HCl は 1 分子から H⁺ が 1 個なので a = 1 です。硫酸 H₂SO₄ は 2 個出せるので a = 2 になります。水酸化ナトリウム NaOH は b = 1、水酸化カルシウム Ca(OH)₂ は b = 2 です。
同じ 0.1 mol/L でも、硫酸を中和するには塩酸の 2 倍の塩基が要ります。図の棒を見てください。硫酸のほうは、同じ濃度でも棒の高さが 2 倍あります。価数は強さとは別のものです。硫酸が塩酸より強いから 2 倍要るのではありません。
濃度の分からない塩酸 10.0 mL を、0.100 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ、12.4 mL で終点になったとします。
a = 1、b = 1 なので、c × 10.0 = 0.100 × 12.4 です。これを解いて c = 0.124 mol/L となります。
滴定は、この 1 本の式のために行う操作です。正確に量り取ること、正確に落とすこと、終点を正確に読むことは、どれも V と V′ を正確にするためのものです。このツールの滴定の画面には、この式の左辺と右辺が 1 滴ごとに並びます。