うなり(合成波の作図・うなりの回数 f = |f₁ − f₂|・楽器の調律)

2 つの波を足す

振動数がわずかに違う 2 つの音を、同時に鳴らします。図の上の段がその 2 つで、どちらも同じ形の波ですが、1 秒あたりの振動の回数だけが少し違います。

横軸は時間です。左端では 2 つの山がそろっていますが、右へ行くほど、振動の速いほうが少しずつ先へ進んでいきます。同じだけ進み続けるので、ずれは時間とともに積もっていきます。

耳に届くのは 2 つの和です。重ね合わせの原理どおり、同じ時刻の変位を足したものが、下の段の合成波になります。

山と山がそろう時刻では足し合わさって大きく振れ、山と谷が向かい合う時刻ではほとんど打ち消し合います。ずれが積もっていくので、この 2 つがかわるがわるやってきます。

ふくらんで、しぼむ

合成波を見ると、細かい振動そのものは速さを変えず、その振れ幅だけがゆっくり開いたり閉じたりしています。この振れ幅の変化が音の大きさの変化として聞こえます。これがうなりです。

和積の公式で足し算を積の形に直すと、なぜそうなるかが見えます。振れ幅にあたるのが で、2 つの振動数の差だけで決まります。細かい振動のほうは平均の振動数 で振れます。

図の破線が、その振れ幅の上限と下限をつないだ線です。合成波はこの内側でしか動けません。線がすぼまって 0 になる時刻には、2 つの波が完全に打ち消し合って音が消えます。

ふくらみきったところから次にふくらみきるところまでが、うなり 1 回ぶんです。その時間が になります。

1 秒に何回うなるか

ここで一つ注意があります。振れ幅を決めているのは ですが、音の大きさに効くのはその絶対値です。上へふくらんでも下へふくらんでも、耳には同じ「大きい」として届きます。

絶対値をとると、山は半周期ごとにやってきます。だからうなりの回数は の振動数の 2 倍になり、ちょうど に落ち着きます。差そのものが 1 秒あたりの回数です。

図は差が 1 Hz のときと 2 Hz のときを並べたものです。目盛りは 1 秒ごとで、そのあいだにふくらみが 1 回と 2 回、数えたとおりに来ています。

たとえば 440 Hz と 443 Hz を同時に鳴らせば、1 秒間に 3 回うなります。もとの振動数がどれだけ高くても、効くのは差だけです。

そろえば消える

差を縮めていくと、うなりの周期は差の逆数ですから、どんどん長くなります。図では差をゆっくり縮めています。ふくらみの間隔が広がっていき、やがて図の中に 1 回も入らなくなります。

差が 0 になると振れ幅は一定になり、うなりは消えます。2 つの音が完全にそろったということです。

楽器の調律はこれを使います。基準の音と合わせて鳴らし、うなりが遅くなる向きへ弦を締めたりゆるめたりして、最後にうなりが聞こえなくなったところで止めます。耳で振動数を当てるより、うなりが消える点を探すほうがずっと正確です。

ただし、うなりの回数は差の絶対値なので、それだけでは自分の音が高いのか低いのかは分かりません。少し締めてみて、うなりが速くなれば遠ざかった、遅くなれば近づいた、と判断します。

シミュレーション波形は進み、媒質は進まない1 周期で 1 波長進む波の式は、遅れを書いただけ
シミュレーション縦波は進む向きに振動する縦波を横波に描き直す
シミュレーション重なっても、そのまま通り抜ける
シミュレーション端で折り返し、固定端だけ裏返る
シミュレーション逆向きに重なると、波は進まなくなる
シミュレーション入る波長は、とびとびに決まる
シミュレーションうなりの回数は、振動数の差
シミュレーション曲がるのは、速さが変わるから
シミュレーション波はすきまの先へ回りこむ
シミュレーション強め合う所は、経路差で決まる
シミュレーション2 つのすきまが、縞をつくる
シミュレーションすきまが増えると、線は鋭くなる
シミュレーション上の面と下の面で、2 度返る
シミュレーション動く音源は、波長を置き換える