波は、媒質がどの向きに振動するかで 2 つに分けられます。振動が進む向きと垂直なものが横波、進む向きに平行なものが縦波です。図の上が横波、下が縦波で、どちらも右へ進んでいます。
上の桃色の粒は縦の破線から出ませんし、下の桃色の粒は横の短い線から出ません。どちらも決まった道すじを往復するだけで、波と一緒に運ばれることはありません。ここは横波でも縦波でも変わりません。
張った弦を揺らせば横波、音は縦波です。地震では、はじめに来る小さな揺れが縦波、あとから来る大きな揺れが横波です。気体と液体は横波を伝えられないので、音は空気中でも水中でも縦波のままです。
縦波でも、変位の意味は横波と同じです。その粒が自然の位置からどれだけずれているか、それだけです。違うのは向きで、縦波では左右になります。
図の短い縦棒が、それぞれの粒の自然の位置です。矢印はそこからのずれで、右向きを正、左向きを負と決めておきます。この決め方は次の講義でそのまま使うので、いま決めておくことに意味があります。
矢印の長さは、位置によって規則正しく変わります。並べてみると、横波の波形とまったく同じ正弦の形になっています。ですから は、そのまま縦波の変位も表せます。式のうえでは、横波と縦波を区別する場所がどこにもありません。
縦波を見て、はじめに目につくのは、粒が寄り集まっている所とまばらな所でしょう。寄り集まっている所を密、まばらな所を疎といいます。
どちらも変位が 0 の所にあります。密は左右から粒が寄ってくる所、疎は左右へ粒が離れていく所だからです。変位そのものが最大の所は、粒がそろって同じ向きへずれているだけなので、密でも疎でもありません。ここは間違えやすいところです。
密と疎は半波長おきに交互に並び、そのまま波と同じ速さで右へ流れていきます。音が伝わるとは、この濃さのむらが空気の中を進んでいくことです。空気そのものは、その場で往復しているだけです。
密から次の密までが 1 波長です。疎から次の疎までを測っても同じ長さになります。横波で山から山までを測ったのと、やっていることは同じです。
周期も同じ意味です。密のならびが 1 波長ぶん右へ流れるのにかかる時間が周期で、それは 1 つの粒が 1 往復するのにかかる時間でもあります。
ですから は縦波でもそのまま成り立ちます。前の講義でこの式を立てたとき、横波か縦波かを一度も使っていません。使ったのは「1 周期で 1 波長進む」ことだけでした。だから、どちらの波にも同じように効きます。