波が別の媒質へ入ると、進む向きが変わります。これが屈折です。なぜ曲がるのかは、波面を描くと一目で分かります。
図は、斜めに入ってきた波面が境目をまたぐところです。波面が境界と交わる点に注目してください。その点は境目に沿って右へ流れていきますが、流れる速さは境目の上でも下でも同じでなければなりません。上と下で食い違えば、波面が境目でちぎれてしまいます。
ところが媒質 2 では波の速さそのものが違います。同じ速さで交点を送るには、向きを変えるしかありません。遅い媒質へ入れば法線に近づき、速い媒質へ入れば法線から離れます。
このとき振動数は変わりません。1 秒間に何回振動するかを決めているのは波源であって、媒質ではないからです。変わるのは速さと波長で、 が境目をまたいで成り立ちます。屈折で「振動数は変わらない」と言うのは、このことです。
角と速さの関係は、覚えるものではなく作図から出せます。図で確かめます。
入射してきた波面の片端が、境界の に着いたとします。もう片端 は、まだ媒質 1 の中です。 が境界の に着くまでの時間を とすると、そのあいだに は媒質 1 を だけ進みます。
同じ のあいだ、先に着いた からは媒質 2 へ波が広がっていきます。その広がりは です。図の円弧がそれで、これに接する線が屈折した波面になります。
ここで直角三角形が 2 つできます。 と で、どちらも斜辺は です。、 ですから、割り算して と を消せば が残ります。これが屈折の法則です。
この比を相対屈折率といい、 で表します。 が 1 より大きければ媒質 2 のほうが遅く、波は法線側へ曲がります。式は 1 本ですが、中身は「同じ時間に進む距離の比」でしかありません。
こんどは速い媒質へ入る場合です。 が 1 より小さいときで、屈折角のほうが入射角より大きくなります。
入射角を少しずつ大きくしてみます。図の光線が動くとおり、屈折した光線は境目のほうへどんどん寝ていきます。入射角が 90 度に届くより先に、屈折角のほうが 90 度に届いてしまいます。
屈折角がちょうど 90 度になるときの入射角を臨界角といい、 と書きます。屈折の法則に を入れれば、 が出ます。覚える式というより、法則に代入しただけのものです。
臨界角があるのは、速い媒質へ入るときだけです。遅い媒質へ入る側では屈折角は入射角より小さいので、90 度に届くことはありません。
では、臨界角より大きい角で入れるとどうなるか。屈折の法則で計算すると が 1 を超えてしまいます。そんな角は存在しません。
式が答えを持たないということは、屈折波が出られないということです。行き場を失った波は境目で全部返ります。これを全反射といいます。図では屈折した光線が消え、反射した光線だけが残っています。
反射のほうは、いつもどおり入射角と同じ角で返ります。ふつうの反射では一部が屈折して向こうへ抜けますが、全反射では抜けるぶんがありません。名前のとおり、すべてが返ります。
光ファイバーは、これを使って光を閉じこめています。中心を屈折率の大きい(遅い)ガラス、まわりを小さいガラスにすると、浅い角で当たった光はすべて中心側へ返され、曲がった線の中を遠くまで運ばれます。