波形と媒質の動き(y-x グラフと y-t グラフ・波長・振幅・周期)

ある瞬間の写真

波を絵にするとき、いちばん初めに決めることがあります。横軸に何を取るか、です。この図では位置 を取りました。縦軸は、そこにある媒質が本来の位置からどれだけずれているかで、これを変位といい で表します。

このグラフは、ある一瞬に波の全体を写した写真です。時間は止まっています。形が右へ流れて見えるのは、写真を次々に取り替えているからで、1 枚だけを見れば時間は止まったままです。

写真から読める量が 2 つあります。山から次の山までの長さが波長 、軸から山までの高さが振幅 です。谷から次の谷までを測っても同じ になりますし、軸から谷までの深さも同じ です。

波形は形を変えずに動くので、いつ写真を撮っても は変わりません。だから波長と振幅は、時刻を指定しなくても決まる量です。

進むのは形だけ

波形の上に、媒質の粒を等間隔に並べました。どの粒も、縦の破線から左右へは出ていません。その場で上下に振動しているだけです。

それでも波形は右へ進みます。進んでいるのは粒ではなく、粒の高さの並び方です。波が運ぶのは物ではなく、振動とエネルギーだ、という言い方はこのことを指しています。海に浮かんだ浮きが岸へ運ばれずに上下するだけなのも、同じ理由です。

粒をよく見ると、どれも同じ振幅・同じ周期で振動しています。違うのはタイミングだけです。右の粒ほど、左の粒より遅れて同じ動きをくり返します。「波が左から右へ伝わる」とは、この遅れが順に受け渡されていくことです。

ですから、波の速さと媒質の速さは別ものです。波の速さは形が進む速さで、媒質の速さはその場の粒が上下する速さです。同じ「速さ」という言葉でも、指しているものが違います。

1 点を見つめた記録

こんどは粒を 1 つだけ選んで、そこから目を離さずに見つめ続けます。上の図の桃色の点です。その高さを時間の順に右へ書き足していったものが、下のグラフです。横軸は位置ではなく時間 になっています。

2 つのグラフは、どちらも同じ正弦の形をしています。しかし意味はまるで違います。上は「ある瞬間の、あらゆる場所」を並べたもの。下は「ある場所の、あらゆる時刻」を並べたものです。

だから読み取れる量も違います。上の山から山までは長さで、これが波長 です。下の山から山までは時間で、これが周期 です。上のグラフに は出てきませんし、下のグラフに は出てきません。試験でいちばん多い取り違えがここで起きます。

グラフを見たら、まず横軸の名前を確かめてください。 と書いてあれば読めるのは波長、 と書いてあれば読めるのは周期です。この一手間だけで、取り違えはなくなります。

次にどちらへ動くか

波形の上のある点が、次の瞬間に上へ動くのか下へ動くのか。これは何度も問われます。波形の傾きから考えようとすると符号で迷うので、図で決めるのが確実です。

やり方は 1 つ覚えれば足ります。波形を、波が進む向きへほんの少しだけずらして描く。そして同じ位置で高さを見比べる。ずらした波形のほうが高ければその点は上へ、低ければ下へ動きます。図の破線が、その「少しあとの波形」です。

右へ進む波では、少しあとの波形の高さは、いまの波形の少し左の高さと同じになります。ですから「その点のすぐ左が高ければ上へ動く」と言い換えられます。左へ進む波なら、左右がそのまま入れ替わります。

山の頂上と谷の底では、粒の速度が 0 になります。左右どちらを見ても高さが同じだからです。逆に を横切っている点で、上下の速さは最大になります。変位が最大のところで速さが 0、変位が 0 のところで速さが最大。これは単振動そのものです。粒は 1 つ 1 つが単振動しているので、当然そうなります。

シミュレーション波形は進み、媒質は進まない1 周期で 1 波長進む波の式は、遅れを書いただけ
シミュレーション縦波は進む向きに振動する縦波を横波に描き直す
シミュレーション重なっても、そのまま通り抜ける
シミュレーション端で折り返し、固定端だけ裏返る
シミュレーション逆向きに重なると、波は進まなくなる
シミュレーション入る波長は、とびとびに決まる
シミュレーションうなりの回数は、振動数の差
シミュレーション曲がるのは、速さが変わるから
シミュレーション波はすきまの先へ回りこむ
シミュレーション強め合う所は、経路差で決まる
シミュレーション2 つのすきまが、縞をつくる
シミュレーションすきまが増えると、線は鋭くなる
シミュレーション上の面と下の面で、2 度返る
シミュレーション動く音源は、波長を置き換える