縦波の横波表示(疎密の読み取り・媒質の速度・よくある誤解)

決めごとは 1 つだけ

縦波は、粒の寄り集まりを目で追うのが難しい図です。波長も振幅も読み取りにくい。そこで、変位の向きを 90 度回して描き直します。これが縦波の横波表示です。

決めごとは 1 つだけです。右向きのずれを上向きに、左向きのずれを下向きに描く。大きさはそのまま変えません。図の上の横矢印と下の縦矢印が同じ長さになっているのは、そのためです。

描き直したあとの形は、横波の波形とまったく同じ読み方ができます。山から次の山までが波長、軸からの高さが振幅です。縦波の問題が横波の問題に化けるので、こう描き直す価値があります。

密と疎を読む

横波表示を見せられて、密と疎の位置を答える。これは頻出です。手順を 2 段階で覚えてください。

まず、密も疎も変位が 0 の所にあるのでした。ですから探すのは軸を横切る点だけで、山と谷は候補にすらなりません。ここで山を「密」と答えてしまう間違いが、いちばん多く起きます。

つぎに傾きで見分けます。右へ進む波なら、右下がりで横切る所が密、右上がりで横切る所が疎です。図の短い線分がその傾きを示しています。理由は変位の向きを見れば分かります。右下がりの点では、左どなりの粒が右向きに、右どなりの粒が左向きにずれているので、その点へ寄ってきます。

波が左へ進むときは、密と疎が入れ替わります。ですから、まず進む向きを確かめてから傾きを見てください。向きを確かめずに「右下がりが密」とだけ覚えると、半分の問題で間違えます。

粒の速度

粒の速度も横波表示から読めます。ただし読むのは高さではなく、その点が次にどちらへ動くかです。

変位がいちばん大きい所、つまり横波表示の山と谷では、粒はいったん止まります。逆に変位が 0 の所、つまり密と疎では、粒がいちばん速く動きます。粒は 1 つ 1 つが単振動しているので、端で速さ 0、中心で速さ最大になるわけです。

向きは、波の基本で使った方法がそのまま効きます。横波表示の波形を、進む向きへほんの少しずらして描き、その点の高さが上がるなら変位が正の向き、つまり右向きへ動きます。下がるなら左向きです。図の下の矢印がその向きで、密と疎の所でいちばん長くなっています。

描き替えであることを忘れない

最後に、いちばん多い誤解を潰しておきます。横波表示は読みやすくするための描き替えであって、媒質が上下に動くようになるわけではありません。

図では、同じ 1 つの粒を上と下に置きました。上の桃色の点は上下に動いて見えますが、下を見れば、その粒は左右にしか動いていません。動きは何も変わっておらず、変わったのは紙の上での描き方だけです。

ですから「縦波の横波表示で、この点の速度の向きを答えよ」と問われたら、答えは左か右です。上や下と答えてはいけません。この図の縦軸は変位の大きさを表しているだけで、実際に動く向きではありません。

シミュレーション波形は進み、媒質は進まない1 周期で 1 波長進む波の式は、遅れを書いただけ
シミュレーション縦波は進む向きに振動する縦波を横波に描き直す
シミュレーション重なっても、そのまま通り抜ける
シミュレーション端で折り返し、固定端だけ裏返る
シミュレーション逆向きに重なると、波は進まなくなる
シミュレーション入る波長は、とびとびに決まる
シミュレーションうなりの回数は、振動数の差
シミュレーション曲がるのは、速さが変わるから
シミュレーション波はすきまの先へ回りこむ
シミュレーション強め合う所は、経路差で決まる
シミュレーション2 つのすきまが、縞をつくる
シミュレーションすきまが増えると、線は鋭くなる
シミュレーション上の面と下の面で、2 度返る
シミュレーション動く音源は、波長を置き換える