つりあっている容器のピストンを押し込みます。粒の数は 1 個も変えません。変えるのは体積だけです。
それでも中身は変わります。同じ数の粒が狭いところへ詰まるので、濃度が上がるからです。濃度とは、粒の数を体積で割ったものです。分母を小さくすれば、値は大きくなります。
ここから先はすべて濃度の話になります。圧力を上げるという言い方をしますが、つりあいに効いているのは圧力そのものではなく、圧力が変えた濃度のほうです。
濃度が上がれば、正反応も逆反応も速くなります。両方とも速くなるなら、つりあいは動かないように思えます。ところが動きます。上がり方が同じではないからです。
正反応の速さは、窒素の濃度と水素の濃度の 3 乗の積に比例します。指数の和は 4 です。逆反応の速さは、アンモニアの濃度の 2 乗に比例します。こちらの指数の和は 2 です。
体積を半分にすると濃度はどれも 2 倍になります。すると正反応の速さは 2 の 4 乗で 16 倍、逆反応の速さは 2 の 2 乗で 4 倍になります。上の帯のほうが大きく伸びる理由がこれです。
指数の和は、その辺にある気体の分子の数そのものです。左辺は 1 + 3 で 4 分子、右辺は 2 分子。分子の数が多い側ほど、狭めたときに強く効きます。
正反応のほうが速くなったので、しばらくは右向きに進みます。アンモニアが増え、窒素と水素が減ります。
進めば逆反応の速さが上がり、正反応の速さは下がります。そして 2 本の帯はふたたび同じ長さになります。ここが新しいつりあいです。
グラフの線を見てください。平らだった線が段になって動き、新しい高さでまた平らに戻りました。この段が、つりあいが動いたということの姿です。
広い容器と狭い容器のつりあいを並べます。同じ粒を入れて同じ温度に置いても、狭いほうがアンモニアが多くなります。
一般に、圧力を上げると気体の分子の数が少ない側へ、下げると多い側へ寄ります。これはルシャトリエの原理の、圧力についての言い方です。
注意すべきことが 1 つあります。左辺と右辺で気体の分子の数が同じなら、狭めても両方が同じ倍率で速くなるので、つりあいは動きません。圧力がいつでも効くわけではないのです。