二酸化窒素は褐色、四酸化二窒素は無色です。2 個の二酸化窒素がくっついて 1 個の四酸化二窒素になる、というだけの反応ですが、どちらへ寄ったかが色でそのまま見えるので、教科書でも実験でもよく使われます。
ふつうの温度に置くと、褐色と無色がある割合で落ち着きます。グラフの 2 本の線が平らになったところが、そのつりあいです。
この反応の正方向は発熱です。くっつくときに熱が出ます。ですから逆方向、つまり分かれるほうは吸熱です。ここから先の話は、この一点で決まります。
温度を上げます。加えられた熱を減らそうとして、つりあいは熱を吸う向きへ動きます。この反応では、四酸化二窒素が分かれて二酸化窒素になる向きです。
図では、温めたところで褐色の粒が増えます。線も段になって動きます。実験でこの気体を入れた容器を湯につけると、目に見えて色が濃くなります。
温度を上げると吸熱の側へ寄る、というのは覚え方ではなく、加えた熱を打ち消す向きへ動く、というだけのことです。
こんどは冷やします。奪われた熱を補おうとして、つりあいは熱を出す向き、つまり 2 個がくっついて無色の四酸化二窒素になる向きへ寄ります。
図では無色の粒が増え、褐色が薄くなります。同じ容器を氷水につければ、色が薄くなるのが見えます。
ここまでの 2 つは、同じ 1 つの言い方で説明できます。温度を変えると、その変化を和らげる向きへ動く。それだけです。
つりあったときの濃度から決まった形の分数を作ると、いつも同じ値になります。これが平衡定数です。
容器を狭めてみます。粒の数は動きますが、つりあったあとに同じ分数を作り直すと、値は元へ戻ります。濃度を変えても、加えても、値は戻ります。
ところが温度を変えると、値そのものが別の数になります。図の 2 つを見比べてください。狭めたほうは値が同じで、温めたほうは値が変わっています。
平衡定数は温度の関数である、という言い方はこのことを指しています。濃度も圧力も、つりあいの位置は動かしますが、平衡定数は動かしません。