平衡定数 K は、つりあったときの濃度で作った分数でした。ここでは、まだつりあっていない濃度で、まったく同じ形の分数を作ります。これを反応商といい、Q と書きます。
式は K と 1 文字も変わりません。違うのは入れる濃度だけです。つりあっていないので、Q の値は時間とともに動きます。
図の右下に Q を出しました。反応が進むにつれて動き、つりあったところで止まります。止まった先は、いつでも K です。
水素とヨウ素だけを入れた瞬間、ヨウ化水素は 0 です。分子が 0 なので Q も 0 で、K より小さい状態から始まります。
このとき反応は右へ進みます。Q を大きくする向き、つまり右辺を増やす向きです。Q が K に追いつくまで進み、追いついたところで止まります。
Q < K なら右へ、と覚えるより、Q が K に近づく向きへ進む、と考えるほうが確かです。大小をひっくり返して覚え間違えることがありません。
こんどはヨウ化水素を多く入れて始めます。分子が大きく分母が小さいので、Q は K よりずっと大きい値から始まります。
このとき反応は左へ進みます。ヨウ化水素が分かれて水素とヨウ素になり、Q は下がっていきます。そして K まで下りたところで止まります。
反応式に書かれた向きが「正しい向き」なのではありません。どちらへ進むかを決めているのは、いまの濃度と K の関係だけです。
左辺だけから来ても、右辺だけから来ても、着く先は同じところです。図の 2 つの容器は、来た道が正反対なのに中身がそろっています。
そこでは Q が K に等しくなっています。つりあいの定義は、速さの帯がそろうことでしたが、Q = K と書いても同じことです。
問題を解くときは、この比べ方が道具になります。いまの濃度から Q を計算して K と比べれば、これからどちらへ進むかが計算だけで分かります。実際に反応させて確かめる必要はありません。