ヨウ化水素の生成を見ます。左辺は水素が 1 分子とヨウ素が 1 分子で、合わせて 2 分子です。右辺はヨウ化水素が 2 分子。左も右も 2 分子で、反応が進んでも気体の分子の総数は変わりません。
速さの式でも同じことが起きています。正反応は水素の濃度とヨウ素の濃度の積なので、濃度の 2 乗ぶん。逆反応はヨウ化水素の濃度の 2 乗なので、こちらも 2 乗ぶんです。
ピストンを押し込みます。粒は詰まり、濃度は上がります。
ところがグラフの線は平らのままです。段になりません。アンモニアの合成では、狭めたところで線がはっきり段になりました。ここでは何も起きません。
つりあいが動いていない、ということです。圧力を上げたのに平衡移動が起きない、という状態がこれです。
速さそのものは上がっています。この場面では帯の物差しを条件をまたいで同じにしてあるので、それが読めます。狭めたところで、2 本ともまとめて伸びます。
体積を半分にすれば濃度はどれも 2 倍です。正反応の速さは 2 の 2 乗で 4 倍、逆反応の速さも 2 の 2 乗で 4 倍。同じ倍率なので、2 本の長さの比は変わりません。比が変わらなければ、つりあう場所も変わりません。
反応商 Q で見ても同じです。分子にも分母にも濃度が 2 乗ぶんずつ並ぶので、体積は約分で消えます。図の Q の値が狭めても動かないのは、そのためです。
同じだけ狭めた 2 つの容器を並べます。左のヨウ化水素は、狭めても数が動きません。右のアンモニアは、狭めるとアンモニアが増えます。
違いは指数の和にあります。アンモニアの合成は左辺が 4 分子、右辺が 2 分子。狭めると左辺のほうが強く効くので、右へ寄ります。
圧力を上げると分子数の少ない側へ寄る、という言い方には、左辺と右辺で分子数が違うなら、という前提がついています。この前提を落とすと、ヨウ化水素で間違えます。