つりあいがどこにあるかを言うのに、物質ごとの数を並べる必要はありません。四酸化二窒素のうち何割が二酸化窒素へ分かれているか、という 1 つの割合で足ります。これを解離度といいます。
図では二酸化窒素を 40 個入れて始めています。四酸化二窒素に直すと 20 個ぶんです。そのうち何個ぶんが分かれたままかを 20 で割ったものが、右下の帯と数字です。
解離度は 0 から 1 のあいだの数です。0 なら全部がくっついていて、1 なら全部が分かれています。どちらへどれだけ寄ったかが、この 1 つの数で言えます。
温度を上げます。分かれるほうの反応は吸熱なので、加えた熱を減らす向き、つまり分かれる側へ寄ります。
図の帯が伸びます。粒の色も褐色が濃くなります。温度を上げるほど解離度は 1 に近づいていきます。
高温では、四酸化二窒素はほとんど残りません。こういう気体を高い温度で扱うときに「分解している」と言うのは、解離度が 1 に近いということです。
温度を下げます。こんどはくっつく側、つまり熱を出す側へ寄るので、解離度は下がります。
図の帯が縮み、無色の粒が増えます。冷やすほど解離度は 0 に近づき、四酸化二窒素として残る割合が増えていきます。
解離度が温度でこれだけ動くので、逆に解離度を測れば温度でのつりあいの位置が分かります。気体の密度や平均分子量を測って解離度を出す実験は、この関係を使っています。分かれると分子の数が増えるぶん、同じ質量でも平均分子量が小さくなるからです。
温度はそのままにして、容器だけを狭めます。すると解離度は下がります。
こちらは熱の話ではありません。分子の数の話です。2 分子から 1 分子になる側へ寄るので、くっついたものが増え、分かれている割合が減ります。
解離度を動かせるのは温度と圧力の 2 つです。ただし、この 2 つは別のことをしています。温度は平衡定数そのものを変え、圧力は平衡定数を変えずに位置だけを動かします。同じ解離度の下がり方でも、中身が違います。