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ローレンツ収縮

ローレンツ収縮は、高速で移動する物体が運動方向に縮んで見える現象です。時間の遅れと対をなす、特殊相対性理論の基本的な効果です。

収縮の公式

静止時の長さ(固有長)を 、速度 で移動している物体の長さを とすると、

時間が 倍に膨張するのに対し、長さは 倍に収縮します。

具体例

速度収縮率
0.5c87%
0.9c44%
0.99c14%
0.999c4.5%

光速の99%で飛ぶ宇宙船は、静止時の14%の長さに縮んで見えます。10メートルの宇宙船が1.4メートルほどに見えることになります。

収縮の方向

重要な点として、収縮は運動方向にのみ起こります。

運動方向(縦)

長さが 倍に収縮する

運動に垂直な方向(横)

長さは変化しない

球形の宇宙船が高速で飛ぶと、進行方向に潰れた楕円体のように見えます(ただし、実際に「見える」形は光の伝播時間の効果もあり、もっと複雑になります)。

固有長

「固有長」とは、物体と一緒に静止している観測者が測る長さです。これは物体の「本当の」長さであり、常に最大の値をとります。

固有長(静止長)

物体と同じ座標系で測った長さ。その物体にとっての実際の大きさ。

観測される長さ

別の慣性系から観測した長さ。固有長より常に短い。

ミュオンの例で理解する

宇宙線ミュオンの現象は、時間の遅れとローレンツ収縮の両方で説明できます。

地球から見た場合

ミュオンの時間がゆっくり流れるため、崩壊するまでに長い距離を移動できる。(時間の遅れ)

ミュオンから見た場合

地球大気の厚さが収縮して見えるため、短い寿命でも地表に届ける。(ローレンツ収縮)

どちらの説明も物理的に等価であり、同じ結果を導きます。これは相対性原理の帰結です。

見かけの効果

ローレンツ収縮は「実際に」起きているのでしょうか。これは「実際」の定義によります。特定の慣性系において、同時刻に物体の両端の位置を測定すれば、確かに収縮した値が得られます。しかし、物体を構成する原子間の距離が物理的に変化するわけではありません。

あくまで時空の幾何学的な性質であり、座標系の選び方によって長さの測定値が変わるということです。