重力波
重力波は、時空の「さざ波」です。加速する質量が時空の曲がりを伝える波を生じ、それが光速で伝播します。2015年に初めて直接観測され、天文学に新しい窓を開きました。
重力波とは
アインシュタイン方程式を弱い重力場で線形化すると、波動方程式が得られます。この解が重力波です。
加速する電荷が電磁場の波を生成。電場と磁場が振動しながら伝播。
加速する質量が時空の波を生成。時空自体が伸び縮みしながら伝播。
電磁波が電荷から放射されるように、重力波は質量から放射されます。ただし、重力波は極めて微弱です。
重力波の性質
光速 で伝播する。
2種類の偏光モードを持つ(+ モードと × モード)。
物質とほとんど相互作用せず、宇宙を妨げられずに進む。
四重極放射
重力波の主要な放射モードは四重極放射です。
双極子放射が最低次。単一の振動する電荷から放射可能。
双極子放射は運動量保存により禁止。四重極放射が最低次。
球対称に膨張・収縮する物体は重力波を出しません。非対称な運動が必要です。
重力波源
強い重力波を出す天体現象があります。
間接的な証拠:連星パルサー
1974年、ハルスとテイラーは連星パルサー PSR B1913+16 を発見しました。
2つの中性子星が互いの周りを公転
重力波を放射してエネルギーを失う
軌道周期がゆっくり短くなる
観測値は一般相対性理論の予測と0.2%以内で一致
この発見により、2人は1993年にノーベル物理学賞を受賞しました。
LIGO による直接観測
2015年9月14日、LIGOは重力波を初めて直接観測しました。
約13億光年先で2つのブラックホール(36太陽質量と29太陽質量)が合体。約0.2秒間の信号。
連星中性子星の合体を検出。電磁波でも観測され、マルチメッセンジャー天文学の幕開け。
検出の原理
重力波が通過すると、空間が伸び縮みします。LIGOはレーザー干渉計でこの微小な変化を測定します。
4kmのアームを2本直交させ、レーザー光の往復時間を比較する。
原子核の大きさの1万分の1程度(m)の変位を検出。
重力波天文学は、電磁波や粒子では見えない宇宙の姿を明らかにする新しい手段です。












