重力による時間の遅れ
重力による時間の遅れは、一般相対性理論の重要な予言です。重力が強い場所ほど時間がゆっくり流れ、この効果はGPS衛星の精度にも影響を与えています。
特殊相対論との違い
特殊相対性理論では、速度によって時間の遅れが生じました。一般相対性理論では、重力(重力ポテンシャル)によっても時間の遅れが生じます。
高速で運動する時計はゆっくり進む。速度が原因。
重力が強い場所の時計はゆっくり進む。重力ポテンシャルが原因。
重力赤方偏移
シュヴァルツシルト計量から、半径 での固有時間 と遠方での座標時間 の関係は、
重力が強い( が小さい)ほど、 は小さくなり、時間がゆっくり流れます。
弱重力場での近似
地球表面のような弱い重力場では、
ここで は重力ポテンシャル(負の値)です。
高度が異なる2点での時間の進み方の差は、
ここで は高度差、 は重力加速度です。
具体例
| 状況 | 時間の遅れ |
|---|---|
| 地表 vs 高度1km | 1秒あたり約 秒遅い |
| 地表 vs GPS衛星(20,200km) | 1日あたり約45マイクロ秒速い |
| 地表 vs 事象の地平面 | 無限大(地平面では時間が止まる) |
GPSへの影響
GPS衛星は高度約20,200kmを周回しています。時間の補正が必要です。
衛星は地表より重力が弱いため、1日あたり約45マイクロ秒速く進む。
衛星は秒速約3.9kmで移動しているため、1日あたり約7マイクロ秒遅く進む。
1日あたり約38マイクロ秒速く進む。これを補正しないと、位置測定に1日で約11kmの誤差が生じる。
パウンド・レプカ実験
1960年、ハーバード大学のパウンドとレプカは、塔の上下でのガンマ線の周波数変化を測定しました。
塔の下から上にガンマ線を発射
上では重力ポテンシャルが高い(時間が速く進む)
ガンマ線は赤方偏移して観測される
一般相対性理論の予測と一致
高さ22.5mの差で、周波数変化は約 という微小な値でしたが、精密に測定されました。
ブラックホール近傍
ブラックホールの事象の地平面に近づくと、時間の遅れは劇的になります。遠方の観測者から見ると、落下する物体は地平面に到達するのに無限の時間がかかるように見えます。
一方、落下する物体自身にとっては、有限の固有時間で地平面を通過します。これは時間の相対性を示す極端な例です。












