コンデンサーと誘電体を電池つきと電池なしで比べる
充電したコンデンサーがたくわえるエネルギーは、3 通りに書けます[1]。
どれも同じ量で、 を代入して行き来しているだけ。分かっている 2 つに合わせて選びます。
目に付くのは です。電池が の電圧で を運んだのなら になりそうなのに、半分しかたまっていません。
途中の電圧は より低い
充電のはじめは、極板に何もたまっていないので電圧は です。運ぶのに仕事は要りません。
たまるにつれて電圧が上がり、次の電荷を運ぶのが重くなる。最後の 1 滴だけが の高さを登ります。
たまった状態で を運ぶ仕事は 。これを から まで積みます[1]。
平均すれば の高さを ぶん運んだことになります。だから の半分。
薄い四角が 、青い三角がその半分です。電池が出したエネルギーのうち、半分は配線の抵抗などで熱になります。
エネルギーは電場のなかにある
エネルギーがどこにあるのか、と問うと、答えは極板のあいだの空間です。単位体積あたりのエネルギーは次の形になります[1]。
コンデンサーに限らず、電場のあるところならどこでも成り立ちます。極板間の体積 を掛ければ に戻る。
誘電体を入れると容量が増える
極板のあいだを物質で満たすと、容量が増えます[2]。
は比誘電率で、真空を とした値です。空気はほぼ 、ガラスなら ほど[3]。
理由は誘電分極です。物質のなかの分子が電場の向きにそろい、表面に電荷が現れる。この電荷が元の電場を打ち消す向きにはたらくので、あいだの電場が弱まります。
電池をつないだままか、外してからか
誘電体を入れる操作は、電池の状態で結果が変わります。固定されるものが違うためです[2]。
つないだままなら電圧が固定され、容量が増えたぶん電荷が増えます。足りない電荷は電池から流れこむ。
外してからなら電荷が固定され、電圧のほうが に下がります。電場が弱まったぶん、極板間の電位差も下がる。
が一定。 と が 倍になり、エネルギーも 倍に増える
が一定。 が 倍、 とエネルギーは に減る
外してから入れた場合、エネルギーが減ります[2]。消えたわけではなく、誘電体を極板のあいだへ引きこむ仕事に使われている。
誘電体は、電場の強いほうへ 引きこまれる 性質を持ちます。手を離すと自分から極板のあいだに入っていく。
入るとエネルギーが下がるので、自然にその向きへ動く。坂を転がるのと同じ理屈になる。
例 1:たまるエネルギー
のコンデンサーに を掛けます。
。小さな値ですが、短時間で放出すれば大きな電力になります。
例 2:除細動器
で をためるのに必要な容量を出します[1]。
です。これを数ミリ秒で放電すると、瞬間の電力は 万ワットを超えます。
例 3:エネルギー密度から出す
極板間の電場が のとき、 あたりのエネルギーを出します。
体積が なら、全体で になります。
例 4:つないだまま誘電体を入れる
のコンデンサーを につなぎ、そのまま の誘電体を入れます。
容量は 、電圧は のまま。電荷は で、入れる前の 5 倍です。
エネルギーは 。もとの の 5 倍に増えました。増えたぶんは電池が出しています。
例 5:外してから誘電体を入れる
同じ を で充電し、電池を外してから誘電体を入れます。
電荷は のまま。容量が になるので、電圧は へ下がります。
エネルギーは 。もとの 5 分の 1 です。
例 6:どこへ消えたか
例 5 で減った は、誘電体が極板のあいだへ引きこまれるときの仕事になっています。
手で押さえながらゆっくり入れれば、そのぶんの仕事を手が受けます。手を離せば誘電体が加速して入り、振動しながら熱に変わる。どちらでも収支は合います。
充電したコンデンサーから電池を外し、そのあとで比誘電率 の誘電体を差しこみました。電圧はどうなりますか。
- 変わらない
- になる
- 倍になる
固定されるものの一覧
| 入れかた | 固定される量 | 増えるもの |
|---|---|---|
| つないだまま | 電圧 | 、、 が 倍 |
| 外してから | 電気量 | だけが 倍 |
問題文に「電池をつないだまま」と書いてあれば電圧、「電池を外してから」と書いてあれば電気量。ここを読み落とすと、増減がそっくり逆になります。
エネルギーの式も、固定されている量に合わせて選びます。電圧が固定なら 、電気量が固定なら 。どちらも の動きだけを追えばよくなる。

















電池を外したので電荷が固定されます。容量が κ 倍になるので、V=Q/C から電圧は 1/κ へ下がる。電池をつないだままなら電圧が固定され、代わりに電荷が κ 倍に増えます。どちらが固定されているかで答えが入れかわります。