電位と電位差〜電荷を動かす仕事と電子ボルト
乾電池に と書いてあります。この数値は、 の電荷を負極から正極まで運ぶのに の仕事がいる、という意味です。
ボルトという単位は、そのまま 。エネルギーを電荷で割った量になっています。
力を割ると電場、エネルギーを割ると電位
静電気力を で割ると電場が残りました。同じ割り算を位置エネルギーにあてると電位が残ります。
割る前はどちらも、置いた電荷の大きさによって値が変わります。割ったあとは、置く前から空間の側に決まっている量になる。
| 力 を で割る | 電場 、単位は |
| 位置エネルギー を で割る | 電位 、単位は |
重力の高さと並べる
重力による位置エネルギーは です。これを質量 で割ると が残り、高さだけで決まる量になります。
電気でも同じ形です。 を で割れば が残る。重力でいう高さの役を、電位が引き受けています。

仕事は差だけで決まる
電荷を から へ動かすときの仕事は、2 点の電位の差だけで決まります。
途中の道すじは関係ありません。まっすぐ動かしても、遠回りしても、同じ値になる。
基準の場所も自由です。どこを と決めても、差のほうは変わらない。海抜を基準にしても地面を基準にしても、 階と 階の高さの差が変わらないのと同じです。

電位はスカラー
電場はベクトルなので、複数の電荷があるときは向きをそろえて合成します。電位はスカラーで、符号つきの数として足すだけで済む。
計算の手間がまるで違います。3 個の電荷がつくる電位なら、 と足して終わりです。
点電荷のまわりの電位
点電荷 から 離れた点の電位は、距離に反比例します。
電場の より落ち方がゆるい。分母の指数が 1 つ小さいためです。

等電位線の上を動かすあいだ、電位が変わりません。差が だから仕事も になる。電気力線と等電位線が直角に交わるのは、そのためです。
電位が 0 でも電場は 0 とはかぎらない
と を 離して置きます。ちょうど中点ではどうなるでしょうか。
電位は と を足して です。ところが電場のほうは、2 つが同じ向きにそろって最大になります。
なら、中点の電場は 。電位が の場所に電荷を置けば、大きな力を受けて動き出します。
スカラー。符号つきで足すため、 と が打ち消して になりうる
ベクトル。向きがそろうと足し合わさり、同じ点で最大になりうる
は、そこへ電荷を運ぶ仕事が という意味であって、そこで力を受けないという意味ではありません。
例:100 V で加速した電子
電位差 のあいだで電子を加速します。得るエネルギーは です。
これがすべて運動エネルギーに変わるとして、 とつり合わせます。
秒速 。乾電池 個ぶんの電圧で、これだけの速さになります。
例:電子ボルトという単位
電子 1 個が の電位差で得るエネルギーを、 電子ボルト()と呼びます。
前の例は にあたります。 で書くと のマイナス乗が並ぶため、粒子の話ではこちらを使う。
例:電圧を 100 倍にする
で加速すると、速さはどうなるでしょうか。 は に比例します。
倍の電圧なら 倍で、。光速のおよそ です。
電圧をさらに上げても、速さは同じようには伸びません。光速に近づく手前で、相対性理論の効果が効いてきます。
例:点電荷のまわりで距離を変える
から の点を調べます。
距離を 2 倍の にすると で、ちょうど半分。同じ場所で電場のほうは から へ、4 分の 1 に落ちます。
静電気力を q で割ると電場
位置エネルギーを q で割ると電位
2 点の電位の差に q をかけると仕事
と を離して置いたとき、2 つの中点について正しいものはどれですか。
- 電位も電場も になる
- 電位は だが、電場は ではない
- 電場は だが、電位は ではない
点電荷から の点で電位が 、電場が でした。距離を にすると、それぞれどうなりますか。
- 電位は 、電場は
- 電位も電場も半分
- 電位は 、電場は
電位は で距離に反比例するため半分、電場は で 2 乗に反比例するため 4 分の 1 になります。2 つをとり違えると、分母の指数が入れかわります。
電場を求めてから積み上げるより、電位を足してから差をとるほうが手数が少なくて済みます。向きを考えなくてよいぶん、スカラーのほうが扱いやすい。
















電位はスカラーなので +kQ/r と −kQ/r が打ち消して 0 です。電場はベクトルで、+Q から離れる向きと −Q へ近づく向きがそろうため、足し合わさって最大になります。