電位と電位差:電場の中で電荷を動かす仕事

電場の中で電荷を動かすと仕事が発生します。この仕事と密接に関わるのが「電位」と「電位差」です。電場をエネルギーの観点から捉えることで、回路の電圧や静電エネルギーの理解につながります。

電位とは

電位は、その場所に単位正電荷(+1 C)を置いたときの位置エネルギーに相当する量です。点電荷 が作る電位は、電荷からの距離 の地点で次のように表されます。

電場 がベクトル量であるのに対し、電位 はスカラー量です。向きを考えなくてよい分、複数の電荷が作る電位は単純な足し算で求められるため、計算が楽になる場面が多くあります。

電場

ベクトル量。複数の電荷がある場合はベクトルの合成が必要

電位

スカラー量。複数の電荷がある場合は数値の足し算でよい

電位差と仕事

2 点間の電位の差を「電位差」(電圧)と呼びます。電荷 を電位 の点 A から電位 の点 B に移動させるとき、静電気力がする仕事 は次の式で表されます。

正電荷は電位の高いところから低いところへ自然に移動します。これはちょうど物体が高い場所から低い場所へ落ちるのと同じで、電位は「電気的な高さ」と考えるとイメージしやすくなります。

電池の役割

電池は内部で化学エネルギーを使い、電荷を低電位から高電位へ「くみ上げる」装置です。1.5 V の電池は、+1 C の電荷に 1.5 J の仕事をして持ち上げていることになります。

等電位面

電位が等しい点をつないだ面を等電位面と呼びます。電場の向きは等電位面に垂直で、電位が高い側から低い側を向きます。

電場と電位の関係

一様な電場 の中で、電場の向きに距離 だけ離れた 2 点間の電位差は次のようになります。

逆に言えば、 です。平行板コンデンサーの極板間の電場は、極板間の電圧を間隔で割ることで求まります。

電場の単位V/m(ボルト毎メートル)または N/C
電位の単位V(ボルト)
電位差2 点間の電位の差(=電圧)

計算例

点電荷 C から 0.2 m の地点の電位を求めてみましょう。

18 万ボルトという大きな値ですが、日常でこれほどの電位を意識しないのは、実際に動く電荷量がきわめて小さいからです。電位差が大きくても、移動する電荷が小さければ仕事(エネルギー)は小さくなります。

静電エネルギー

電位の概念を使うと、電荷の配置が持つ静電エネルギーを簡潔に表現できます。2 つの点電荷 が距離 にあるとき、その静電エネルギーは です。

電荷を現在の配置に組み上げるために外部から行った仕事の総量。電荷を無限遠から運んでくる仕事として計算する。

電位と電位差の考え方は、電池や回路の電圧、コンデンサーに蓄えられるエネルギーなど、電磁気学全体の基盤になっています。「電気的な高さ」というイメージを持っておくと、さまざまな場面で見通しがよくなります。