電流が磁場から受ける力とフレミングの左手の法則
磁場のなかに電流を流した導線を置くと、導線が力を受けます。
は電流と磁場のなす角で、直交していれば と最大になります[1]。平行なら 。
向きは 3 本の指で決めます。左手の中指を電流、人差し指を磁場に合わせると、親指が力の向きになる。3 本を互いに直角に開いて当てます。

当てる手は国で変わる
フランス語圏の教科書では右手を使い、親指を電流、人差し指を磁場、中指を力に当てます[2]。
指の割りふりが違うだけで、出てくる向きは同じです。両方を混ぜると必ず間違えるので、どちらか 1 つに決めて通すことになります。
ミクロなローレンツ力の集まり
導線が受ける力は、なかを動く電子 1 個ずつが受ける力の合計です。
導線の断面積を 、単位体積あたりの電子数を 、平均の速さを とすると、電流は と書けます[1]。
長さ の部分にある電子の数は 個。1 個あたり を受けるので、合計は次のようになります。
が にまとまりました。マクロな が、ミクロな の積み上げだと分かります[3]。
図では電子を電流の向きに流していますが、実際の電子は逆向きに動きます。それでも力の向きは変わりません。
電子は電流と 逆向きに動いている ので、力の向きが二重にひっくり返ります。
電荷が負なので 1 回、動く向きが逆なのでもう 1 回。結果として、電流の向きで考えたときと同じ向きに力がはたらく。
モーターになる
磁場のなかのコイルに電流を流すと、向かい合う辺が逆向きの力を受けます。コイルを回そうとする偶力になる。
半回転したところで整流子が電流の向きを切りかえるので、回し続けられます。 回巻き、面積 のコイルなら、トルクは です。
平行な電流のあいだ
2 本の平行な導線では、片方がつくる磁場をもう片方が感じます。長さあたりの力は次の形。
同じ向きなら引き合い、逆向きなら反発します。日常の感覚とは逆で、まぎらわしいところ。
2 本は引き合う。あいだの磁場が打ち消し合い、外側が強くなる
2 本は反発する。あいだの磁場が強め合う
例 1:まっすぐな導線
の磁場に、 が流れる長さ の導線を垂直に置きます。
。10 g ほどの物体にはたらく重力ぶんです。
例 2:導線を浮かせる
質量 、長さ の導線を、 の磁場のなかで支えなしに浮かせます[1]。
重力とつり合う条件は です。
でよい。電流を水平に流し、力が上を向く向きにそろえます。
例 3:斜めに置く
例 1 の導線を、磁場と をなす向きに置き直します。
半分になりました。平行に近づけるほど小さくなり、平行で です。
例 4:平行な 2 本
離れた 2 本の導線に、それぞれ を流します。
あたり 。小さな力ですが、電流を増やすと 2 乗で効きます。 なら あたり になる。
例 5:モーターのトルク
の磁場に、面積 、 回巻きのコイルを置き、 を流します。コイル面が磁場と平行のとき、トルクは最大です。
巻き数を増やせばそのまま比例して大きくなります。小型のモーターが細い線を何百回も巻いてあるのは、このため。
例 6:電流から電子の速さを出す
断面積 の銅線に を流します。銅の自由電子の数密度を とします。
計算すると です。1 秒に ほどしか進みません。電子はゆっくり動き、それでも数が多いので になります。
磁場と同じ向きに電流を流した導線には、どれだけの力がはたらきますか。
- で最大になる
- 0 になる
- になる
押さえどころ
電流が磁場から受ける力は、モーター、スピーカー、電磁ブレーキの根にあります。回す、押す、止めるという動きが、この 1 本の式から出てくる。

















F=BILsinθ で θ=0 なので sin0=0、力は 0 です。最大になるのは直交したとき。電流の向きを少しずつ傾けていくと、sinθ にしたがって連続に変わります。