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電池の内部抵抗と端子電圧(電圧計が正常でも動かない場合)

テスターを当てると と出るのに、機器につなぐと動かない電池があります。測り方が悪いわけではありません。

電流を流していないときの電圧が起電力、流しているときの電圧が端子電圧で、この 2 つは別の値です[1]。

は電池の内部にある抵抗で、内部抵抗と呼びます。電流が流れると、ここでも電圧が下がる。

開放電圧が起電力

電流が のときは なので、端子電圧は起電力に等しくなります[2]。テスターは内部抵抗が非常に大きく、ほとんど電流を流さないので、この値を読んでいる。

負荷をつなぐと電流が流れ、 のぶんだけ端子電圧が落ちます。電流が大きいほど落ち幅も大きい。

特性は直線になる

を の関数として見ると、傾き の直線です[2]。

縦軸との交点が起電力、傾きの大きさが内部抵抗。測定点を 2 つとれば、電池を分解せずに両方が出ます。

テスターだけでは判断できない

無負荷では内部抵抗の影響が出ません。だから消耗した電池でも、テスターの表示は正常に近い値になります。

判断するなら、負荷をつないだ状態で端子電圧を測る。電池の残量チェッカーは、内部で決まった抵抗をつないで電圧を読む仕組みになっています。

電池が古くなると、起電力より先に 内部抵抗のほうが大きく変わり ます[1]。新品の乾電池なら を下回る値ですが、消耗すると数 まで上がる。

極板の酸化や電解液の変化で、内部の電流の通り道が細くなる。同じ電流を流したときの電圧降下がその分だけ増える。

とり出せる電力

外部抵抗 で消費される電力を書きます。

を小さくすれば電流は増えますが、端子電圧が下がる。逆に を大きくすると電圧は保てても電流が減ります。どちらへ振っても電力は落ちる。

最大になるのは のときで、そのときの値は次のようになります。

このとき内部抵抗でも同じだけ電力を消費するので、効率は 50 パーセントです。電力を最大にとり出す条件と、むだを減らす条件は一致しません。

電力を最大にする

。とり出せる電力が最大になるが、半分は電池のなかで熱になる

効率をよくする

。とり出す電力は小さいが、熱として捨てるぶんが減る

例 1:端子電圧を出す

起電力 、内部抵抗 の電池に をつなぎます。

起電力より 低い値です。この は電池のなかで熱になっています。

例 2:重い負荷をつなぐ

起電力 、内部抵抗 の電池に をつなぎます[1]。

端子電圧が も落ちました。外部で消費する電力は です。

例 3:特性の直線から読む

測定して、電流 で 、電流 で という 2 点が得られたとします[2]。

傾きを出します。

起電力は 、内部抵抗は です。グラフ 1 枚で両方が決まる。

例 4:最大電力

例 2 の電池で電力が最大になる条件を出します。 のとき。

このとき電流は 、端子電圧は 。起電力のちょうど半分になります。

例 5:短絡させる

外部抵抗を にすると、電流は内部抵抗だけで決まります。

端子電圧は で、 がすべて電池のなかで熱になる。内部抵抗の小さい電池ほど短絡が危険なのは、この電流の大きさのため。

例 6:消耗した電池

起電力 の乾電池に をつなぎます。新品の内部抵抗を 、消耗品を とします。

新品なら 、端子電圧は 。

消耗品では 、端子電圧は まで落ちます。

無負荷ではどちらも を示します。テスターの表示だけでは見分けが付きません。

起電力 、内部抵抗 の電池に をつなぎました。端子電圧はいくつですか。

__RESULT__

電流は で、内部抵抗での降下は 。端子電圧は です。外部抵抗に掛かる電圧 とも一致します。 は電流が流れていないときの値になります。

見分けるための並べ直し

起電力 電流を流していないときの端子電圧
内部抵抗 特性直線の傾きの大きさ
端子電圧 。負荷をつないだときに測れる値
短絡電流。内部抵抗だけで決まる
最大電力 のとき 、効率は 50 パーセント

電池を評価するときは、必ず電流を流した状態で測ります。無負荷の値は、内部抵抗をまるごと隠してしまう。

「電圧は出ているのに動かない」という状況は、内部抵抗が上がったサインです。起電力ではなく、内部抵抗のほうが寿命を決めています。

参考文献

10.2: Electromotive Force/University_Physics_II_-_Thermodynamics_Electricity_and_Magnetism_(OpenStax)/10%3A_Direct-Current_Circuits/10.02%3A_Electromotive_Force). Physics LibreTexts, OpenStax University Physics Volume 2.
Utiliser la caractéristique d'un générateur. Kartable(フランス語).
テスターで $1.5$ V と出るのに機器が動かない電池があります。測り方の問題ではありません。電流を流していないときの電圧が起電力、流しているときが端子電圧で、$V=\mathcal{E}-Ir$ だけ差が出る。無負荷では $Ir$ が消えるので、消耗した電池でも表示は正常に近くなります。特性を $I$ の関数として描くと傾き $-r$ の直線になり、測定点を 2 つとるだけで起電力と内部抵抗が両方出る。電力が最大になるのは $R=r$ のときで、そのとき効率はちょうど半分です。短絡電流や、消耗して内部抵抗が上がった電池の計算も入れました。