内部抵抗のある電池と端子電圧の関係

理想的な電池は一定の電圧を供給しますが、現実の電池には「内部抵抗」があり、電流が流れると電池自身の中でも電圧降下が生じます。このため、端子で測れる電圧は起電力よりも小さくなります。

起電力と内部抵抗

電池の起電力 は、電流が流れていないときの電圧(開放電圧)に等しい値です。電流 が流れると、内部抵抗 による電圧降下が生じ、外部の端子で測れる電圧(端子電圧) は次のようになります。

起電力(電池の本来の電圧)
内部抵抗
回路に流れる電流
端子電圧(実際に取り出せる電圧)

電流が大きいほど内部抵抗による電圧降下 が大きくなり、端子電圧は下がります。スマートフォンの電池が残り少ないとき、重い処理(大電流)で急に電圧が下がってシャットダウンすることがあるのは、内部抵抗の影響です。

計算例

起電力 9 V、内部抵抗 0.5 Ω の電池に外部抵抗 4 Ω をつないだ回路を考えます。

回路全体の抵抗は Ω なので、

端子電圧は、

起電力 9 V に対して端子電圧は 8 V です。差の 1 V は内部抵抗での電圧降下に使われています。

開放時(

端子電圧 = 起電力 (電圧降下なし)

負荷接続時(

端子電圧 = (内部抵抗分だけ低下)

最大電力の条件

外部抵抗 で消費される電力 は、

この の関数として見ると、(外部抵抗 = 内部抵抗)のとき最大になります。この条件を「インピーダンスマッチング」と呼び、電力を最大限取り出したいときに重要です。

のとき

電流は小さいが端子電圧は高い。電圧を安定させたい場面に適しています。

のとき

電力が最大になります。ただしエネルギーの半分は内部抵抗で熱として失われます。

のとき

大電流が流れるが、内部抵抗での損失が大きく、端子電圧は低い。電池の劣化も早まります。

電池の劣化と内部抵抗

電池が古くなると、内部抵抗が増大します。新品の乾電池の内部抵抗は 0.1〜0.5 Ω 程度ですが、消耗すると数 Ω にまで上昇し、端子電圧の低下が顕著になります。

同じ電流を流したとき、内部抵抗が大きいほど端子電圧が下がる。電池の残量チェッカーはこの原理で動作している。

電池の「へたり」は起電力そのものの低下だけでなく、内部抵抗の増大が大きな原因です。テスターで電池の電圧を測って正常値を示すのに機器が動かないのは、無負荷(電流ゼロ)では内部抵抗の影響が現れないためです。実際に負荷をかけた状態での端子電圧を測ることが、電池の状態を正しく判断するポイントになります。