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ガウスの法則と電場の求め方:球と円筒と平面

金属球に電荷をためて、外側の電場を測ります。球のどこに電荷が散らばっているかは分かりません。それでも、全部の電荷が中心の 1 点に集まっているとして計算すると、測った値と合います。

中身の配り方をとばして答えが出るのは、閉じた面を通り抜ける電気力線の本数が、面の中にある電荷だけで決まるからです。

外の電荷は数に入らない

閉じた面をひとつ思い浮かべます。面の外に電荷があると、そこから出た線は面へ入り、反対側から出ていく。

入った本数と出た本数が同じなので、差し引きで になります。面の中にある電荷だけが、通り抜けた本数として残る。

貫いた本数の合計と、中の電荷の関係が次の式です。

電気力線の本数の決め方は、点電荷のときと同じもの。中の電荷が同じなら、面をどう変えても本数は変わりません。

面の形をこちらで選べる

強みはここです。電場の大きさが面の上でどこでも同じになるように面を選ぶと、本数の計算がかけ算 1 回で済みます。

は電気力線が垂直に抜ける部分の面積です。電場が一定でない面をとると、この形にはなりません。

使えるのは、電荷の配り方に対称性があるときだけ。球、円筒、平面の 3 つが、その対称性にあたります。

球なら 2 乗で落ちる

電荷を球の中心のまわりに対称に配ると、電場はどこでも中心から外向きで、同じ距離なら同じ大きさになります。だから半径 の球面を選ぶ。

球面の面積は です。

点電荷の式と同じものになりました。球の外から見るかぎり、中の配り方は答えに残りません。

円筒なら反比例

長い直線に電荷が並んでいる場合です。 あたりの電荷を とします。

導線を軸にした、半径 で長さ の円筒を選びます。電気力線が抜けるのは側面だけで、上下のふたは平行に通り過ぎるため数に入らない。

側面の面積は です。

が両辺から消えます。

の 1 乗で落ちる形になりました。直線電流のまわりの磁界が で落ちるのと、面の選び方が同じです。

平面なら落ちない

広い板に一様に電荷をのせた場合です。 あたりの電荷を とします。

板をはさむ円筒を選びます。抜けるのは上下のふた 2 枚で、側面は平行に通り過ぎる。

が消えて、距離も入りません。

3 つを並べる

対称性抜ける面積電場の落ち方
球距離の 2 乗に反比例
円筒距離に反比例
平面距離によらない

面積に が何乗ぶん入っているかが、そのまま落ち方になります。球は 2 乗、円筒は 1 乗、平面は 乗。

一様に帯電した球の内側

中身がつまった球に、電荷が一様に散らばっているとします。内側の点ではどうなるでしょうか。

半径 の球面を選ぶと、その中にある電荷は全体の一部だけです。体積の比で 倍。

で割ると、 が 1 つ残ります。

内側では距離に比例して増え、表面で最大になり、外側からは 2 乗で落ちる。中心では です。

金属球の場合は形が違います。電荷が表面だけに集まるため、内側には電荷がなく、電場は のまま。表面で急に立ち上がります。

例:球の外と内

を半径 の球に一様に配ります。まず外側の 。

表面 では です。内側の は表面の半分の距離だから、。

例:本数から確かめる

同じ から出る本数は です。

の球面の面積は 。

前の例と合いました。 が丸めた値のため、末尾はわずかにずれます。

例:直線電荷

あたり が並んだ直線から の点を調べます。 を使うと計算が軽い。

に離すと で、ちょうど半分。球なら 4 分の 1 まで落ちるところです。

例:同軸ケーブルの外側

芯線に 、外側の筒に が流れているとします。筒の外に円筒面を選ぶと、中に入っている電荷は と の合計で 。

外の電場は です。信号が外へもれず、外からの雑音も入らないのは、この打ち消しによります。

電荷の配り方に、球・円筒・平面のどれかの対称性があるか見る

電場の大きさが一定になる面を選ぶ

E かける面積を、中の電荷を ε0 で割ったものに等しいと置く

半径 の金属球に電荷を与えました。中心から の点の電場はどれですか。

  • 表面の半分
  • 表面の 4 倍
__RESULT__

金属では電荷が表面だけに集まります。半径 の球面を選ぶと、中に電荷が 1 つも入っていないため電場は 。表面の半分という答えは、中身まで一様に帯電した球の場合のものです。

閉じた面の外に電荷を 1 つ置き足しました。面を貫く電気力線の本数はどうなりますか。

  • 変わらない
  • 増える
  • 減る
__RESULT__

外の電荷から来た線は、面へ入った本数だけ反対側から出ていきます。差し引きが なので、貫いた合計は動きません。ただし面の各点での電場は変わっており、変わらないのは合計のほうです。

面をこちらで選べることが、この法則の使いどころです。電場が一定になる面が引けるなら、あとは面積で割るだけで終わります。

金属球の外側の電場は、電荷が中心の 1 点に集まっているとして計算しても、測った値と合います。閉じた面を貫く電気力線の本数が、面の中にある電荷だけで決まるためです。外の電荷から来た線は入った数だけ出ていき、差し引きで消える。強みは面をこちらで選べるところにあり、電場が一定になる面をとれば $E \times S = Q/\varepsilon_0$ というかけ算 1 回で済みます。使えるのは球・円筒・平面の対称性があるときだけ。落ち方が距離の 2 乗、1 乗、一定と分かれるのは、線が散らばる面積に $r$ が何乗ぶん入っているかの違い。中身まで一様に帯電した球は内側で距離に比例し、金属球の内側は $0$。同軸ケーブルの外側が $0$ になる理由も、同じ数え方で片づきます。